10月23日の数字:国内600人対海外2万人、従業員の内外比率

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御社には海外の従業員が何人いるでしょうか?
従業員の国内vs国外比率が、企業の今後を考える一つの指標になりそうです。

「現在、スミダの従業員数は世界で2万人超だが、日本には開発者を中心に600人が残るのみ。08年12月期の売上高は557億円で収益の8割以上を海外で稼ぐ(日本経済新聞2009年10月19日付1面)」

従業員数でいえば、もはや日本が本社とはいえないのが、コイル大手スミダコーポレーションの実情だ。もちろん、実態は東証一部上場、れっきとした日本企業である。

とはいえ経営メンバー6人のうち2人はすでに外国人である。その『6人の経営メンバーは各国を飛び回り、6人がそろった場所が”本社”となる(前掲紙)」。ちなみに本社は東京都中央区八重洲一丁目6番6号八重洲センタービルと同社のホームページに記されている。

実にワールドワイドというか、自由闊達というか。本社とは場所のことではなく、意志決定をできる人間の集まる場所のことなのだという割り切りが潔いではないか。

また、ここまで外国人が多くなってくると、例えば会議を何語でやるかといった問題が出てくる。同社では日本語を話せない社員が一人でも加われば、その会議は英語で行われることになっているという。

これが何を意味するか、おわかりだろうか。日本語を解せない社員でも英語は話せるということだ。ということは、日本人社員であったとしても会議をこなせる程度の英語力がないと同社ではやっていけないことになる。かっこいいではないか。

もっとも海外の従業員を増やしているのはスミダだけではない。IBMしかりネスレもそう。スミダは労働集約型企業だから生産現場は人件費の安いところでないと競争に勝てない。IBMにしても単純なプログラミングなどは、圧倒的にコストが低いインドでやる。

こうした動きをどう捉えるのか。その感度によって、企業の将来像は大きく変わってくるのかもしれない。ここで考えるべきは次の二方向の問題だろう。一つには自社内のビジネスプロセスに単純労働のパートがあるなら、そのコストダウンをどこで・どうやって図るのか。

もう一つは、海外の生産技術力/生産コストバランスが高まってきたときに、自社はどこで競争優位を保つのか。日本の製造業に等しく突きつけられている問題に対して、手をこまねいて傍観している時間は、そんなに残されていないのではないだろうか。