10月14日の数字:カラオケボックス12年連続減少

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そういえば、最近カラオケボックスに行ってないな。
と思われる方、その理由について考えられてみたことありますか?

「2008年の国内カラオケボックス施設数は9116カ所。前年比1.4%減少した。ピーク時の1996年と比べると施設数は4割少なくなった。宴会やパーティーの需要が落ち込んだため12年連続で減少が続いている(日本経済新聞2009年10月11日付朝刊9面)」

確かに、個人的にもカラオケに行くことはなくなった。5年ほど前には一時、ほぼ毎週のように通ったこともあったのだが。では、なぜカラオケボックスは減っているのだろうか。この質問はすなわち、人はなぜカラオケに行かなくなったのか、という問いとほぼ同義だろう。どうしてだろう。

記事には「多くの人が歌って楽しめるヒット曲が少なくなった。景気後退で宴会の2次会に行く人も減り、カラオケボックスの集客に響いた(前掲紙)」とある。本当だろうか。

確かにメガヒットといわれる曲は減った。12年ほど前といえば、いわゆる小室サウンドの全盛期。安室奈美恵を筆頭にavexアーティストたちが、ミリオンセラーを次々と出していた。彼らのヒットソングを歌いにカラオケボックスに通う人がいたというのはうなずける話だ。

宴会の2次会需要も減っているのだろう。というか、そもそも宴会自体が減少傾向にあるだろう。しかし、その背景にあるのは景気後退もさることながら、従来タイプの宴会を嫌う人たちが増えていることではないか。会社の宴会になど行きたくない、特に若い人たちの間にそうした傾向は明らかにあると思う。

そう考えればメガヒット曲があった時代にも、カラオケで歌われていたのはヒット曲ばかりではない。むしろよりマイナーな曲をどれだけうまく歌うかに賭けている人もいたはずだ。たかがカラオケとはいえ、仲間内では歌のうまいことが何らかのプラス評価になっていたのだろう。

一方で、この10年間で他に何が変わったかを考えれば、カラオケボックス衰退が象徴する変化も見えてくる。ネットの普及である。あるいはカラオケボックスのメインユーザーだった人たちに絞り込むなら、ケータイの爆発的な普及だろう。

つまりカラオケが果たしていた、ある種のコミュニティ作成/維持機能がケータイ(ネット)によって取って代わられた。これがカラオケボックス衰退の根本的な原因ではないのだろうか。この推論の先には、カラオケとはいえ対面で行われていたコミュニケーションが、ケータイによって間接的なコミュニケーションにシフトしたとも考えられる。

その先には何があるのか。Twitterがブームになっていることとも関わりのあるテーマ、そんな気がする(もっと、ちゃんと考える必要があるとは思うけれど)。