10月9日の数字:20代社員が不足=75.2%

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20代の社員が不足している。
社員の年齢構成はバランスが取れているだろうか。

労働政策研究・研修機構が2008年12月に調査した結果である。対象となったのは従業員50人以上の企業で、回答は2734社から集まった(日経産業新聞2009年10月8日付1面)。

一年前のリーマンショックが起こるまで、日本経済は好景気だといわれてきた。「戦後最長の」などという言葉が添えられることもあったぐらいだ。が、果たしてその好景気とは、一体どのレベルの企業までの話だったのか。

本当に景気が良ければ、採用も正常に行われるはず。採用活動が普通に行われていれば、社員の年齢構成にそれほど際だった偏りはでないだろう。ところが調査結果では20代の社員が足りないと答えた企業が、全体の4分の3にも上る。ここには大きな問題が隠されている。

20代最年長を29歳とする。いま29歳の社員を大卒で採用しているなら、22歳つまり7年前に入社していることになる。20代社員が不足しているということは7年前(=2002年)から現在に至る間に採用された社員が少ないという意味だ。

なぜだろうか。この間、紆余曲折あったけれども、基本的に日本経済は上り調子だったのではないのか。

そこで透けて見えてくるのは、企業の好調ぶりは一つには人件費を抑えること、つまり新卒採用を減らすことで支えられていたのではないかということ。確かに景気は良かったのかもしれないが、それは本来の成長サイクルで回っていたわけではなく、コストを絞り込むことで実現された好景気だった可能性があるわけだ。

もう一つには、この10年ぐらいで新入社員の意識が恐ろしいまでに変わったのではないかということ。以前のような就職=就社意識はもはや、完全に失われたといっても過言ではない。気に入らなければすぐに辞めるといったネガティブ反応から、いずれ独立・起業するために若いうちにさまざまな職種を経験したいという超・ポジティブ思考まで、若い人たちの意識が多様化している。もっとも最近では将来に対する不安から、終身雇用を求める若い人もと多いそうだが、それはそれで別の問題だろう。

いずれにしても社員の年齢構成にゆがみがある企業は、致命的な問題を抱えかねない。それは例えば本来なら部下がいるはずなのにいないために起こる30代社員の未成熟であったり、社内のベテランが持つ技術が次の世代に伝えられることなく断絶してしまったりすることだ。

もちろん片側では20代の人たち(いわゆるフリーターをメインとする)のスキルアップがまったく進まないといった欠点もある。御社社員の年齢別構成はどうなっているだろうか。

<余談>
一昨日あった31歳女性社長は、大学を出て就職するときから30歳での企業を目指していたという。だから彼女はまず外資系大手IT上場企業に入り、次に少数精鋭のITベンチャーに移る。そして夜間はMBAに通い、人脈を築き、同級生がCFOを勤めていた上場ベンチャー企業に誘われる。そこで広報室長までを務めて独立。極めて戦略的だ。