8月24日の数字:トヨタ生産計画を15万台上積み

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トヨタが2009年の世界生産計画を上方修正した。
これは明らかに一つの動きである。
その動きが表された数字をどう読むべきだろうか。

少しばかり景気の良い話。トヨタ自動車が2009年の生産計画を15万台上方修正した。「従来、トヨタ本体で580万台としていた世界生産台数を595万台に上方修正した(日本経済新聞2009年8月19日付朝刊13面)」

パーセンテージに2.5%増である。ただし08年の生産台数は821万台だったから、当初計画の580万台は前年対比70%にとどまる。だからこそ、わずか2.5%とはいえ上積みされることは意味があるとも読める。

要は数字の読み方なのだと思う。数字が表すのは変化だ。変化を引き起こすのは、何らかの動きである。動きには必ず方向性がある。その方向性と動きの強さ、あるいは動きのステージを見ることが大切なのだ。

つまり、その動きは今後どうなっていくのかを考えるということ。極端な話、現時点で切り取ってみた数字に本来意味などない。数字は過去から未来へと続く流れの中の一つの断面にしか過ぎない。逆説的な物言いかもしれないが、だからこそ数字には読み取るべき意味があるはずだ。

この15万台をどう読むのかについては、まだまだ慎重に考える必要がある。この動きを引き起こした力そのものについては、確かに世界経済の回復基調がベースの一つにある。しかし、その回復基調をお膳立てしているのは、アメリカや日本あるいは中国に典型的に見られるような政府のバラマキによる後押しである。

もちろん政府は意図的にばらまいているわけで、その是非はここでは保留する。見極めるべきは、着火剤としてのバラマキがくすぶりのままで終わるのか、より大きく燃えさかる炎へと連鎖反応を引き起こしていくのか、だ。

その意味で注目すべきは、トヨタに追随するメーカーが出てくるのかどうか。仮にどこかのメーカーが同調し始めれば、一つの動きがうねりへとつながっていくだろう。つまり動きがより明確な方向感を持ち、さらにその力が強まり、ひいては成長期へとステージアップしていくことになる。

果たして、そうした流れになるのか。それともトヨタ単発の動きで終わってしまうのか。このあたりが重要な読みどころなのだと思う。