7月20日の数字:三代目より七代目

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江戸時代、寝具の西川を襲った危機を切り抜けたのは?
売り家と唐様で書く三代目。初代が苦労して創業し、何とか事業を軌道に乗せる。二代目はおそらく、子どもの頃はまだ貧しかったはずで、初代の苦労も目の当たりにしている。だから、それなりに儲けが出ていても自省する。ところが三代目ともなると、初期の苦労を知らず裕福な家庭に生まれ育つことになるので、どうしてもビジネス感覚が甘くなる。創業時の理念が、初代と同じぐらいのピュアさで伝わっているはずもない。だから同族企業では三代目が一つの危機になる。そんな戒めを込めた川柳が冒頭のことば。企業30年寿命説にもつながる教えだと思う。
ところが、三代目はおろか七代目の改革によって、その後の繁栄につなげた老舗がある。寝具の西川だ(日本経済新聞2009年7月19日付朝刊)。西川七代目は勘定帳による在庫管理の徹底やボーナス制度の導入など大改革を断行した。三代目の危機を乗り越え、六代も続いて慣れ親しんだやり方を変えるとなると、その抵抗も並大抵ではなかったはず。人はとにかく『今のやり方』を変えることを嫌う。その典型が霞ヶ関に象徴される公務員さんたちだ。
裏を返せば、常に改革し続けることのできる企業がどれだけ有利かは言うまでもないはず。『カイゼン』のエッセンスは、この改革し続けることにある。同族企業が三代目で凋落するのも、企業が30年で寿命を迎えがちなのも、創業時の顧客志向を忘れてしまうから。だからこそ顧客のために常にカイゼンし続けることのできる企業は、不況耐性も強いのだ。