ラックなたたずまい《浮世のことは笑うほかなし》

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 故山本夏彦の対談集「浮世のことは笑うほかなし」。
なかなか面白い一冊でした。

 対談相手に向田邦子や池部良、安野光雅、安倍譲二などなど、そうそうたる人たちですが、こと「ものづくり」という視点から読んで面白かったのは、ソニー創業者の盛田昭夫との対談です。

「なんとかならぬかマニュアルの日本語」

電気製品を中心に、技術的なものを説明することの難しさと、ジレンマを語っています。
例えば、「ダイオード」ひとつとっても素人の人に優しく説明できるひとが誰もいないこと。
「わかりやすくお願いします」
と事前に依頼していると、ソニーのようなトップ企業でもそれぞれの分野の専門家が出てきても分かりやすく説明することは、不可能だそう。
どうしても「意味不明な言葉=専門用語」が出てきていけないんだそう。

製品説明書も誰も読まないのに分厚くなって、ますますわからなくなる。

「昭和30年代に買ったラジオの説明書は14ページでした。」
という話も驚きでしたが、その製品の手引きを書いていたのが盛田氏自身だったので、これまた驚き。

また、トランジスタラジオを世界で初めて発売した時のエピソードは説明の文書は難しい、と痛感させてくれるとともに、笑えます。

なかなか面白かったお奨めの一冊です。