文化が街を活かす

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大阪・天神橋筋商店連合会会長の土居年樹さんは、今年の年頭所感で、「文化が街を活かす」というタイトルで次のように述べられている。
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水が呑みたくなって井戸を掘るような愚はやめ、前を向く積極姿勢の商人、江戸時代の商人訓「利は義の和なり」を貫くほんまもんの商人が勝つ時代背景を創ることが今の社会に必要なことかも知れません。

「文明が文化を駆逐する時代」に「街は文化の宝庫である」という思いを持ち続けて30年、商店街(天神橋筋商店街)の活性化に励んできた成果物として、上方落語の定席小屋「天満天神繁昌亭」が完成した(平成18年)のも天満が持つ文化を掘り起こした結果であります。「芸能文化が商店街の活性化に貢献する」と考えた人は少ないでしよう。

芸能文化はお金を生まないものだという観念があるものですが、このことを逆手にとったのがこの事業です。1)上方落語会の若手芸人が活性化され、2)商店街(天神橋筋)の来街者が増え、3)大阪に齎す経済効果が116億円(1年目)、4)天神さんとその周辺が活気づいてくる。このようなことを誰が予測したでしよう。

このことを踏まえ私が感じたことが3つあります。ひとつは人の和(桂三枝さん、天満宮の寺井宮司、私・土居)の人間関係が功を奏したこと。二つ目は地の利、往年は天満宮の周辺に八軒の小屋があり、そのひとつでも取り戻そうとする執念が多くの人々に感動を与えたこと。そして、最後は時の運。落語ブームが復活しNHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」が始まり一気に落語が日本中に広まったこと。・・・・・改めて人間関係の大切さを思い知らされたものです。この教訓を大切に精進したいものです。
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土居さんの述べられていることで感動したのは、「文明が文化を駆逐する時代」に「街は文化の宝庫である」という思いを持ち続けてこられたことである。文明と文化はどのように違うか?広辞苑によれば、文明と文化とは同義に用いられることも多いが、「文明」が技術的発展のニュアンスが強いのに対し、「文化」は人間の精神的生活にかかわるものである、とある。
文明という名において、科学技術の進歩が必ずしも人間の幸福に結びつかず、また人間の生活を無味乾燥なものにし、また人間同士のいたわりの気持ちを少なくさせていることを否定できないことは悲しいことである。この悪い意味での文明の暴走に歯止めをかけるのは文化なのであろう。そういった意味で文化が切り捨てられないように我々は行政のやることが正しいものかどうかを常に監視する必要がある。

by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/