クリエイティブに仕事する

アートはわからない、と言いつつアートな話題が続きますが。。。

先週水曜日(5月6日)の日経新聞夕刊文化欄で、アートディレクタ;佐藤可士和さんが「革新的アーティスト十選」の第1回にデュジャンの「泉」を取り上げていました。

この作品の写真は見たことはあったのだけれど、作品のタイトルも何を表しているのかも知らないでいたのですが、佐藤さんの文章を読んで納得させられました。

作品のタイトルは「泉」。男性用便器をひっくり返して、その排水の穴の模様を泉に見立てているのだとか。なるほどぉ〜。目からウロコです。

この作品のすごいところは、ただ便器をひっくり返してみせて、それに意味付けした"だけ"なところ。いわゆる「創造」や「制作」という"作るという行為"を何もせずに、新しい価値や意味を示したことにあるようです。
「作る」という行為をせずに、クリエイティブな仕事をやってのけたのですなぁ。。。すごい。

同じようなことはビジネスの世界にもあります。
ピーター・F・ドラッカーが、例に出しているのですが、とある家電販売の営業マンが冷蔵庫の販路拡大を考えていた時に、思い当たったのがエスキモーに冷蔵庫を売るということ。

冷蔵庫の中よりも寒いところに住んでいるエスキモーにどうやって冷蔵庫を売るんだ?そもそも寒いんだから必要ないじゃないか?と考えてしまうところを、彼は「保温用の機械」として、販売したのだそうです。
エスキモーの人たちが住んでいる寒冷地では、"普通に"物を置いておくと、カチンコチンに凍ってしまいます、そこで、冷蔵庫にものを入れておくと10℃前後に「保温」されて凍結しない。この「凍結しない」という機能を売って成功を収めたそうです。

彼は、新製品を企画したわけでもなく、製造したのでもなく、新しい価値(使用方法)と市場をクリエートしたといえるのではないでしょうか?

クリエイティブな仕事というと、何かとデザインしたり絵を描いたりといったことばかりだと思いがちですが、本当はそういう事だけではなくてもクリエイティブな仕事はできるのですね。と、いうより、そういうものを作らないクリエイティブな仕事こそがが求められているんじゃないか?と思うのでした。