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第3回BMBインタビュー「ラボイチイ(イチイ有限会社)」
- 2008/07/07 10:25
- 投稿者: kawamoto(oidc) カテゴリ:BMBインタビュー
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ゴム・スポンジの試作・開発を通じて、接触性皮膚炎やゴムアレルギーなど、敏感肌で困っておられる女性・子供・高齢者をターゲットとしたモノ作りを展開し、「敏感肌市場」の創出に熱意を燃やす、ラボイチイ(イチイ有限会社)代表取締役 市位政嗣さん
―市位さんの仕事は、ゴムやスポンジに新たな機能を付加することと聞いておりますが。
ウチはもともとゴムやスポンジに入れる薬剤のブレンドを主体とした会社で、発泡剤のブレンドを得意としております。お客さんからの様々な機能的要求に応えるとともに、薬剤を売るためにゴムやスポンジの配合(レシピ)もお渡ししておりました。お客さんの商材が流れればウチの薬剤も売れると考えたからです。
しかし、日本のゴム業界は衰退の一途を辿りまして、その理由は、素材ビジネスではなく、海外から製品として安く入ってくるようになったからです。
―今のようなビジネススタイルになったきっかけは何ですか?
仕事が減りだした頃から、実はそのレシピが一番“オイシイ”ということに気づきまして・・・。レシピを売るビジネスをやろうということで「ラボイチイ」を立ち上げました。
そうすると、より川下に近いところから開発の依頼が来るようになりました。私どもがサンプルを製作し、それを今までお世話になった川上のゴム・スポンジの生産基地に依託して生産してもらい、それを買い上げて川下に納入するという三方よしのビジネスモデルができ上がったわけです。
―どんな機能素材を開発されているか紹介していただけますか。
これは低反撥の発泡素材ですが、いわゆる衝撃吸収材になります。エラストマーを発泡させておりまして、この素材を型に入れてスポーツ・プロテクターなどに二次加工することができます。
―精密機器などの保護にも使えそうですね。
こちらは卵殻のツーリングマテリアルで、新事業活動促進法をいただきました。ツーリングマテリアルというのは、試作木型(樹脂型)のことで、モックアップモデルや製品金型を起こすときに必要になるもので、デザイナーにも馴染みの深い素材だと思います。従来の素材はウレタン樹脂でできており、切削粉は産業廃棄物になるわけですが、廃棄コストがかかり、燃焼温度も高くて環境への影響大と聞いております。
卵殻のツーリングマテリアルは、約60%が卵殻でできておりますので、燃焼温度を低く抑えられます。現在試作段階ですが、技術的な目処は立っており、卵殻の安定供給が商品化の鍵です。
―原油高騰の折り、今後に期待の持てそうなエコロジカルな素材ですね!
最後に形状記憶スポンジですが、これは、60度から80度のお湯に浸すとイソプレンですから柔らかくなり、どんなものでも型取りすることができます。常温ではその形のまま維持できます。お湯につけると元のシート状に戻ります。介護用品などに使えるのではないかと考えています。
面白いところでは、型押しした革製品などから型取りすることができますので、サンプル程度でしたらモデルを作るのに金型がいらなくなります。発泡素材ではなくもう少し硬い素材になりますが。
何に使えるかというのは広く皆さんからアイデアをいただきたいですね。
―ひと口にゴムやスポンジと言っても、様々な機能や用途があるんですね。素材から使い道を創造するのはデザイナーが得意とするところです。BMBを通じていい出会いがあることを期待しています。本日はありがとうございました。
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