布ふきん「さささ和晒ロール」
第2回「目からウロコの相談会」報告
- 2011/09/09 14:00
- 投稿者: kawamoto(oidc) カテゴリ:目からウロコの相談会
- 表示回数 4,156
会場:マイドームおおさか 共用会議室
日時:6月3日(金)午後6時〜8時
相談者:有限会社植田製作所 植田崇靖
相談役:
日本SYNコンサルティング株式会社 中島央雄
株式会社エンジニア 高崎充弘
株式会社DRIVE 芦谷正人
株式会社サピエンティスト 下出 一
アドリアカンパニー 岩田浩司
大和ハウス工業株式会社 堀美和子
大阪府立産業技術総合研究所 朴 忠植
事務局:大阪府産業デザインセンター 川本誓文・西村睦夫
植田:今日は追尾型自動搬送台車「カルガモちゃん」の実機について、いろいろと相談に参りました。この台車を簡単に説明しますと、寸法45cm×60cm、本体4kg(バッテリー8kg)、速度60m/minです。前面の3つのセンサーで速度調節と衝突回避を行っています。工場、倉庫、ショッピングセンター(SC)等での活用を考えています。まずはデモンストレーションを行いますのでご覧下さい。
見ていただきましたように(人に)“ついてくる”台車です。試作機を開発し、現在、特許出願中(リモコンと台車が一対一で対応するので、同じ台車があっても誤作動しない機能等)です。
中島:倉庫などで角を曲がるときの半径はいくらですか、それから耐荷重は?
植田:1mから1.5m程です。なだらかにカーブを描くように動きます。直角には曲がりません。耐荷重設定は40kgです。あくまでも人が運ぶ台車の置き換えを考えています。
会場から:操縦者が近づくと後ろに下がりますか?
植田:そういう機能を持たせることもできますが、安全上つけていません。人に当たると危険ですので。
中島:まずは、特許・技術の専門家の立場から掘り下げてみましょう。
下出:ポイントはこの技術がどれだけ新しいのか?追尾型のロボットではかなりの特許数が予測できます。知財の保護という観点からのみではなく、他社の権利を侵害していないかどうかの調査は必要でしょう。
植田:特許について専門家による事前調査は行いました。特長は、一対一でリンク、複数の受信センサー、位相を把握等が新規性です。
下出:では違った観点から。「カルガモちゃん」の商標登録はお済みですか?デザイン上のオリジナリティがあれば、センサーの配置でも意匠権は狙えるでしょう。
植田:今は何も対策していませんので検討します。
朴:技術的には、使用環境によってユーザーの納得が得られれば現状でも良し。追捕性など性能の向上にはアルゴリズムや周囲の環境認識をどこまでやるか。追求したいなら改めて相談に応じます。
中島:ではビジネスニーズの掘り起こしはどうでしょう?SCのカート代わりや物流センターでのピッキングなどの他には・・・。
植田:ゴルフカートの代わりに使えるかなと・・・。USJなどアミューズメントパークで掃除している人の動くゴミ箱や掃除道具入れへの応用などはどうでしょう?いろいろ考えてはいますが、まずは流通倉庫をメインに。あまり重い物は載せない設定です。
中島:搬送機には電動、モーター付き、耐荷重、手押し等々、この業界は競合他社も多いですが。
植田:我が社は追尾が特長。人が通れるところはどこにでも行けます。軌道は必要ありません。
堀:既にTVニュース等で取り上げられているようですが、マスコミはどこに着目しましたか?関係者の反応は?
植田:テレビ大阪に知り合いがいるので、資料を送ってこちらから売り込みました。「日本のスゴイ機械」という特集の中で、町工場ではこんな新しいものを作っているという取材でした。ディレクターからは「ペットみたいな扱いをしてください、声をかけて(笑)」と言われました。
放送後、ホームページのアクセス数は増えました。某トラックメーカーから商談の問合せが来ています。
芦谷:露出度が増えるとブラッシュアップされてくるものです。普通の人の目に触れる場所で、もうちょっと活躍できれば・・・。例えば、保育園の先生が子ども乗せて園内を移動するカートとか。用途の分母を広げると表現の仕方が変わってきます。
岩田:何に使うかというイメージができていないのが現在の状況かと・・・。ニッチな用途を徹底的に突き詰めていく方法ですが、そのために値段は?年間何台売れればいいですか?
植田:問合せがあったトラックメーカーからはユニットで売って欲しいと。自分たちで調整したいのでプログラムを公開して欲しいとも。こちらとしては、少なくとも複数台買ってくれるところで、共同開発、会話のキャッチボールができることが条件です。自動追尾台車の最低価格を調べると40万円でした。価格はそれに合わせています。30台〜100台出ないとスケールメリットはないでしょう。
中島:物流センターで役に立つのでしょうか?正直言ってこの分野、競争は厳しいです!専業メーカーはかなりある。受注で倉庫を牛耳れば、搬送機までも作ってしまう。
別の用途の方が面白いのでは?これはマーケティング用語で「拡散」と言いますが、一旦物流は脇に置いて他の可能性を考えましょう、例えば介護分野。リハビリ歩行器で使えないだろうか?理学療法士がコントロールして歩行訓練する機器。施設の外でも使えるようなものは今のところない。
岩田:数を出して絞っていく。リハビリ用途は社会貢献の部分でも重要です。徐々に歩く訓練を、高齢者は自立して歩きたい。ついてくる椅子という発想。オフィス環境でのフリーデスク。旅行のスーツケースやキャリー。農作物収穫、出荷用トレー等。観光地のゴミ箱。ベッドメーキング。飛行場のカート等々。
中島:コンセプトをどこに設定するか。ものの便益を書き表したものを思い込みではなく明確にしたい。ターゲットを絞り、ライフスタイルが変わるようなシナリオを。
高崎:植田製作所は従業員6名のプレス屋さん。トレタマ(ニュース番組)に出て反響がないのはデザインが悪いから。まずは次に踏み出すための一歩を。私の商品開発の持論MPDPで言うと、パテント(P)は押さえた。プロモーション(P)はルートがある。無いのは、マーケティング(M)とデザイン(D)。今のままではアイデアを100出しても前に進めない。
中島:今あえてレッドオーシャンに飛び込みますか?物流は中身だけで30億円市場。出来ることは何なりとする業界です。値段があってないような世界です。
植田:医療系は許認可が必要で、新規は難しい。ハードルの低いところから挑戦したい。ピッキングが主体のamazonの倉庫のようなところをイメージしています。納入台数は多い方がいい。
中島:今の完成度合いでは機能的にもデザイン的にも試作品レベルです。プライシングはマーケティングの中でも重要です。原価計算を積み上げて、適正な利益を取ったときにいくらで売れるのか?
植田:デザインと機能とコンセプトと価格とターゲットを言い出すと堂々巡りしてしまうので、まずは、今できていないデザインを固めたい。
中島:私が言っているのは、ある意味事業計画に近いところですが、いっぺん「絵を描いてみる」という作業が必要なんですよね。
高崎:この際ターゲットは無理矢理絞る!300人規模の業務倉庫みたいなところ。そのためには、ブラッシュアップした見栄えのするデザインが必要で、今のままでは飛び込み営業もかけられない。
芦谷:例えば、初期の頃のアップルⅡは木箱に入れて売っていましたが、医者とかマニアが買ってくれて資本を築いたと言われています。たぶん倉庫業界も一律ではない。まずはこの台車にマッチする人を探してみる。響く人がいればデザインの話はそれからでも良い。小さな会社がやるべき戦略です。
植田:先ほど言ったトラックメーカーもそんなところ。台車は極端なことを言えば顧客側で作れる。彼らが欲しいのは、カスタマイズできるセンサーメカニズムの部分です。売って、いじって、後は好きにする。フィードバックは欲しいですが・・・。マイコン4つで制御していて、バラしても制御方法は分からないでしょう。
芦谷:ホームページ等で、ばれない程度に情報公開すればどうでしょう。専門家が見ることを想定して興味を引くような情報を。
植田:大元の制御プログラムは公開(オープンソース)して、皆さんにいじっていただく。個別制御のプログラムは公開しないという戦略を考えています。
高崎:今の台車はカルガモちゃんと言われても、「えっ!どこがカルガモちゃん?」という感じ。少なくともカルガモをイメージさせる台車を作るべき。
中島:確かにデモ機としてみた場合に、人に見せられるレベルである必要はあります。
堀:購買は理性で起こらない。BtoBでもBtoCであっても、その人が心を動かされなければ購買行動には至りません。
中島:五感マーケティングという世界。例えばバーを手に握ったときの感触、握り具合までも配慮する。そこまで考えられていればお客さんは共感する。一カ所でも考えられていないところがあれば売れない。
芦谷:恐らく植田さんは、センサーの微妙な振舞いは想像できても、デザインにまで気配りはできないのでは?その部分はデザイナーが担うことになるが、ウマが合わなければ不幸な結果になる。もっと、制御の細やかな部分、システムデザインを大事にすべきでしょう。
朴:特定の場所で想定内の動きで満足するなら使える。現実にはいろんな状況が考えられるが、横ずれ、滑りなどは車輪型の宿命。終わりのない課題をロボット学会もずっと追い求めている。例えば、不整地ではタイヤが滑りますので、センサーにはノイズが乗ってきてどれが本当の状況なのか判断がつかなかったりする。赤外線センサー一つを取っても屋外では使えないことを考えれば、ターゲット選びは慎重であるべきです。さらに、介護福祉の分野では安全性、指の巻き込み等の問題。責任を考えればなかなか市場に出せない。
下出:この商品の肝がプログラムである以上、オープン戦略は慎重に進めたい。たくさん資本のあるところは、これを調べ上げて簡単に類似のものを出してくるでしょう。デザインがある方がインパクトは強いですが。
中島:台車のポールをステンレスにするだけでも印象は変わる。簡単なところから手をかけていって、3年後の活躍するイメージが思い浮かべられればいい。現状とのギャップを埋めて行くことに注力して。
植田:20年後ぐらいに一人一台持っている姿は思い浮かべています。叔母の買い物の補助として使える台車を作るというのが発想の原点です。
中島:物流倉庫のイメージが後付けなら、最初の想いを追求していっていただきたい。急がば回れですから、一ヶ月くらいかけて事業戦略まで落とし込んでみては。
岩田:植田さんの会社が何者であるか。事業計画を立てるにはプレス屋の技術が活きる手法を考えるべき。
中島:今日は、公開型ですから会場の皆さんからご意見ないでしょうか?
会場から:オープンソースで出すと真似されることもありますが、最初に出して情報を集約できるようにしておくと、ノウハウが溜まり、カスタマイズの依頼に対応できるようになります。そこを狙っていくことも考えられます。
堀:依頼対応ですと、安売りしなくてすみますから、こちらの言い値で商売ができるようになるのがメリットです。
会場から:倉庫用途ですと、手押し台車との違いが生産性にまで及べば説得性が高まります。協力してもらえる小さな倉庫でフィールド調査をして、ヒアリングをかけてデータ取りされれば、改良点も見えてくるのでは?
会場から:植田さんは経営者として熱意もありパワフル。とりあえず売るものを用意していることが大事です。そうすれば、後はお客さんがいろんな用途を考えてくれます。
中島:この辺りで時間となりました。短い時間で消化不良を感じますが、今日出た意見だけではなく、引き続き考えていっていただきたい。その際、ポジショニングマップなどを作られて、どこに行けば強みがでるのかを改めて見直してみれば、必然的に答えは出てくるのかなと思います。ここにいるメンバーは、ボランティアで参加していますが、我々でできることはフォローさせていただきますので、何なりとお声かけください。
ご参加いただきました皆さん、どうもありがとうございました。
日時:6月3日(金)午後6時〜8時
相談者:有限会社植田製作所 植田崇靖
相談役:
日本SYNコンサルティング株式会社 中島央雄
株式会社エンジニア 高崎充弘
株式会社DRIVE 芦谷正人
株式会社サピエンティスト 下出 一
アドリアカンパニー 岩田浩司
大和ハウス工業株式会社 堀美和子
大阪府立産業技術総合研究所 朴 忠植
事務局:大阪府産業デザインセンター 川本誓文・西村睦夫
植田:今日は追尾型自動搬送台車「カルガモちゃん」の実機について、いろいろと相談に参りました。この台車を簡単に説明しますと、寸法45cm×60cm、本体4kg(バッテリー8kg)、速度60m/minです。前面の3つのセンサーで速度調節と衝突回避を行っています。工場、倉庫、ショッピングセンター(SC)等での活用を考えています。まずはデモンストレーションを行いますのでご覧下さい。
見ていただきましたように(人に)“ついてくる”台車です。試作機を開発し、現在、特許出願中(リモコンと台車が一対一で対応するので、同じ台車があっても誤作動しない機能等)です。
中島:倉庫などで角を曲がるときの半径はいくらですか、それから耐荷重は?
植田:1mから1.5m程です。なだらかにカーブを描くように動きます。直角には曲がりません。耐荷重設定は40kgです。あくまでも人が運ぶ台車の置き換えを考えています。
会場から:操縦者が近づくと後ろに下がりますか?
植田:そういう機能を持たせることもできますが、安全上つけていません。人に当たると危険ですので。
中島:まずは、特許・技術の専門家の立場から掘り下げてみましょう。
下出:ポイントはこの技術がどれだけ新しいのか?追尾型のロボットではかなりの特許数が予測できます。知財の保護という観点からのみではなく、他社の権利を侵害していないかどうかの調査は必要でしょう。
植田:特許について専門家による事前調査は行いました。特長は、一対一でリンク、複数の受信センサー、位相を把握等が新規性です。
下出:では違った観点から。「カルガモちゃん」の商標登録はお済みですか?デザイン上のオリジナリティがあれば、センサーの配置でも意匠権は狙えるでしょう。
植田:今は何も対策していませんので検討します。
朴:技術的には、使用環境によってユーザーの納得が得られれば現状でも良し。追捕性など性能の向上にはアルゴリズムや周囲の環境認識をどこまでやるか。追求したいなら改めて相談に応じます。
中島:ではビジネスニーズの掘り起こしはどうでしょう?SCのカート代わりや物流センターでのピッキングなどの他には・・・。
植田:ゴルフカートの代わりに使えるかなと・・・。USJなどアミューズメントパークで掃除している人の動くゴミ箱や掃除道具入れへの応用などはどうでしょう?いろいろ考えてはいますが、まずは流通倉庫をメインに。あまり重い物は載せない設定です。
中島:搬送機には電動、モーター付き、耐荷重、手押し等々、この業界は競合他社も多いですが。
植田:我が社は追尾が特長。人が通れるところはどこにでも行けます。軌道は必要ありません。
堀:既にTVニュース等で取り上げられているようですが、マスコミはどこに着目しましたか?関係者の反応は?
植田:テレビ大阪に知り合いがいるので、資料を送ってこちらから売り込みました。「日本のスゴイ機械」という特集の中で、町工場ではこんな新しいものを作っているという取材でした。ディレクターからは「ペットみたいな扱いをしてください、声をかけて(笑)」と言われました。
放送後、ホームページのアクセス数は増えました。某トラックメーカーから商談の問合せが来ています。
芦谷:露出度が増えるとブラッシュアップされてくるものです。普通の人の目に触れる場所で、もうちょっと活躍できれば・・・。例えば、保育園の先生が子ども乗せて園内を移動するカートとか。用途の分母を広げると表現の仕方が変わってきます。
岩田:何に使うかというイメージができていないのが現在の状況かと・・・。ニッチな用途を徹底的に突き詰めていく方法ですが、そのために値段は?年間何台売れればいいですか?
植田:問合せがあったトラックメーカーからはユニットで売って欲しいと。自分たちで調整したいのでプログラムを公開して欲しいとも。こちらとしては、少なくとも複数台買ってくれるところで、共同開発、会話のキャッチボールができることが条件です。自動追尾台車の最低価格を調べると40万円でした。価格はそれに合わせています。30台〜100台出ないとスケールメリットはないでしょう。
中島:物流センターで役に立つのでしょうか?正直言ってこの分野、競争は厳しいです!専業メーカーはかなりある。受注で倉庫を牛耳れば、搬送機までも作ってしまう。
別の用途の方が面白いのでは?これはマーケティング用語で「拡散」と言いますが、一旦物流は脇に置いて他の可能性を考えましょう、例えば介護分野。リハビリ歩行器で使えないだろうか?理学療法士がコントロールして歩行訓練する機器。施設の外でも使えるようなものは今のところない。
岩田:数を出して絞っていく。リハビリ用途は社会貢献の部分でも重要です。徐々に歩く訓練を、高齢者は自立して歩きたい。ついてくる椅子という発想。オフィス環境でのフリーデスク。旅行のスーツケースやキャリー。農作物収穫、出荷用トレー等。観光地のゴミ箱。ベッドメーキング。飛行場のカート等々。
中島:コンセプトをどこに設定するか。ものの便益を書き表したものを思い込みではなく明確にしたい。ターゲットを絞り、ライフスタイルが変わるようなシナリオを。
高崎:植田製作所は従業員6名のプレス屋さん。トレタマ(ニュース番組)に出て反響がないのはデザインが悪いから。まずは次に踏み出すための一歩を。私の商品開発の持論MPDPで言うと、パテント(P)は押さえた。プロモーション(P)はルートがある。無いのは、マーケティング(M)とデザイン(D)。今のままではアイデアを100出しても前に進めない。
中島:今あえてレッドオーシャンに飛び込みますか?物流は中身だけで30億円市場。出来ることは何なりとする業界です。値段があってないような世界です。
植田:医療系は許認可が必要で、新規は難しい。ハードルの低いところから挑戦したい。ピッキングが主体のamazonの倉庫のようなところをイメージしています。納入台数は多い方がいい。
中島:今の完成度合いでは機能的にもデザイン的にも試作品レベルです。プライシングはマーケティングの中でも重要です。原価計算を積み上げて、適正な利益を取ったときにいくらで売れるのか?
植田:デザインと機能とコンセプトと価格とターゲットを言い出すと堂々巡りしてしまうので、まずは、今できていないデザインを固めたい。
中島:私が言っているのは、ある意味事業計画に近いところですが、いっぺん「絵を描いてみる」という作業が必要なんですよね。
高崎:この際ターゲットは無理矢理絞る!300人規模の業務倉庫みたいなところ。そのためには、ブラッシュアップした見栄えのするデザインが必要で、今のままでは飛び込み営業もかけられない。
芦谷:例えば、初期の頃のアップルⅡは木箱に入れて売っていましたが、医者とかマニアが買ってくれて資本を築いたと言われています。たぶん倉庫業界も一律ではない。まずはこの台車にマッチする人を探してみる。響く人がいればデザインの話はそれからでも良い。小さな会社がやるべき戦略です。
植田:先ほど言ったトラックメーカーもそんなところ。台車は極端なことを言えば顧客側で作れる。彼らが欲しいのは、カスタマイズできるセンサーメカニズムの部分です。売って、いじって、後は好きにする。フィードバックは欲しいですが・・・。マイコン4つで制御していて、バラしても制御方法は分からないでしょう。
芦谷:ホームページ等で、ばれない程度に情報公開すればどうでしょう。専門家が見ることを想定して興味を引くような情報を。
植田:大元の制御プログラムは公開(オープンソース)して、皆さんにいじっていただく。個別制御のプログラムは公開しないという戦略を考えています。
高崎:今の台車はカルガモちゃんと言われても、「えっ!どこがカルガモちゃん?」という感じ。少なくともカルガモをイメージさせる台車を作るべき。
中島:確かにデモ機としてみた場合に、人に見せられるレベルである必要はあります。
堀:購買は理性で起こらない。BtoBでもBtoCであっても、その人が心を動かされなければ購買行動には至りません。
中島:五感マーケティングという世界。例えばバーを手に握ったときの感触、握り具合までも配慮する。そこまで考えられていればお客さんは共感する。一カ所でも考えられていないところがあれば売れない。
芦谷:恐らく植田さんは、センサーの微妙な振舞いは想像できても、デザインにまで気配りはできないのでは?その部分はデザイナーが担うことになるが、ウマが合わなければ不幸な結果になる。もっと、制御の細やかな部分、システムデザインを大事にすべきでしょう。
朴:特定の場所で想定内の動きで満足するなら使える。現実にはいろんな状況が考えられるが、横ずれ、滑りなどは車輪型の宿命。終わりのない課題をロボット学会もずっと追い求めている。例えば、不整地ではタイヤが滑りますので、センサーにはノイズが乗ってきてどれが本当の状況なのか判断がつかなかったりする。赤外線センサー一つを取っても屋外では使えないことを考えれば、ターゲット選びは慎重であるべきです。さらに、介護福祉の分野では安全性、指の巻き込み等の問題。責任を考えればなかなか市場に出せない。
下出:この商品の肝がプログラムである以上、オープン戦略は慎重に進めたい。たくさん資本のあるところは、これを調べ上げて簡単に類似のものを出してくるでしょう。デザインがある方がインパクトは強いですが。
中島:台車のポールをステンレスにするだけでも印象は変わる。簡単なところから手をかけていって、3年後の活躍するイメージが思い浮かべられればいい。現状とのギャップを埋めて行くことに注力して。
植田:20年後ぐらいに一人一台持っている姿は思い浮かべています。叔母の買い物の補助として使える台車を作るというのが発想の原点です。
中島:物流倉庫のイメージが後付けなら、最初の想いを追求していっていただきたい。急がば回れですから、一ヶ月くらいかけて事業戦略まで落とし込んでみては。
岩田:植田さんの会社が何者であるか。事業計画を立てるにはプレス屋の技術が活きる手法を考えるべき。
中島:今日は、公開型ですから会場の皆さんからご意見ないでしょうか?
会場から:オープンソースで出すと真似されることもありますが、最初に出して情報を集約できるようにしておくと、ノウハウが溜まり、カスタマイズの依頼に対応できるようになります。そこを狙っていくことも考えられます。
堀:依頼対応ですと、安売りしなくてすみますから、こちらの言い値で商売ができるようになるのがメリットです。
会場から:倉庫用途ですと、手押し台車との違いが生産性にまで及べば説得性が高まります。協力してもらえる小さな倉庫でフィールド調査をして、ヒアリングをかけてデータ取りされれば、改良点も見えてくるのでは?
会場から:植田さんは経営者として熱意もありパワフル。とりあえず売るものを用意していることが大事です。そうすれば、後はお客さんがいろんな用途を考えてくれます。
中島:この辺りで時間となりました。短い時間で消化不良を感じますが、今日出た意見だけではなく、引き続き考えていっていただきたい。その際、ポジショニングマップなどを作られて、どこに行けば強みがでるのかを改めて見直してみれば、必然的に答えは出てくるのかなと思います。ここにいるメンバーは、ボランティアで参加していますが、我々でできることはフォローさせていただきますので、何なりとお声かけください。
ご参加いただきました皆さん、どうもありがとうございました。