プロダクトデザイン・工業デザインというと、外観のスタイリングをイメージされる方が多いと 思いますが、使い勝手や機能、コストダウンを計ることも、デザイナーの職能です。

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BMB参加の第一段として、今から8年ほど前に手掛けた例をご紹介いたします。 知り合いの紹介で依頼を頂いたのが、タックルボックスというルアー・
フィッシングボックスでした。

私自身、釣りの経験は殆ど無かったのですが、当時よく売れていた
というアメリカのフィッシングボックスをサンプルに、主だったスペック
(仕様)と、営業から上がってきたユーザーからの問題点を、お聞き
しました。

基本的な機能は、同社において永年蓄積されたノウハウにより
スムーズに詰める事が出来たのですが、問題点は、ユーザーが、
タックルボックスのロックを掛けていない時に急に雨が降ってきて、
慌ててハンドルを持って運ぼうとした際に、蓋が開いて中身を
ぶちまける。と、いったトラブルでした。
ロックを掛けていないのだから、蓋が開くのは当たり前の事なの
ですが、何とか対処法が無いものかというのが最大の問題でした。

取りあえず、必要なスペックをデザインに盛り込みながら、ロックを
掛けていない状態でも中身の飛散を防ぐアイデアを数案提案させて
頂きました。
(極力、部品点数は増やさず、複雑な加工も無い方法を考案)
そして細部を詰めてゆき、メーカー担当課長さんのご苦労の末、
商品化にこぎ着けました。 

発売すると、多くのバス・フィッシィングのプロの方に使って頂き、
雑誌でも取り上げられてその機能性を高く評価され、大ヒットと
なりました。

様々な基本スペックを見つめ直し、今回新たに盛り込んだ ” ロックを
掛けていなくても簡易ロックで収納品の飛散を防ぐ機能”  は、
パテントを取得し「グッドデザイン賞」や「ルアー」誌の「読者が選ぶ
タックル・オブ・ザ・イヤー」の部門別の賞を5年連続受賞して
殿堂入りする等、発売以来8年を過ぎた今でもタックルボックスの
代名詞として売れ続けています。

これは、お客様からの要望を機能という形でデザインに盛り込んで
成功した一つの例ですが、こうした使いやすさを形にすることも、
プロダクト・工業デザイナーの仕事なのです。



商品名:バーサスVS-3080
http://www.meihokagaku.jp/user_data/packages/default/img/products/spot_vs3080.jpg
発売日:2003年5月27日
2004年度 グッドデザイン賞 受賞
2003~2007年度 ルアーマガジン / タックル・オブ・ザ・イヤー
(小物アイテム部門・総合アイテム編) 5年連続1位+殿堂入り
問い合せ先
明邦化学工業株式会社・ 営業部
URL: http://www.meihokagaku.co.jp