10月17日の数字:充電一回走行距離4キロの市バスって!

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一回の充電でわずかに4キロしか走れない電動バス。
それが上海市では市バスとして採用されるという。
そこには、どんなカラクリが?

上海の電動バスの話。これがとんでもなくすばらしい。さすが中国の人は考えることが違う。本当に感心した。何しろ充電一回で走って4キロなのだ。これを市バスとして走らせるのである。

と、ここまで書いてきて、この電動バスのカラクリがわかった方が、もしおられるならあなたもすばらしい。もし、ここまでで本当にわかられたのなら、ぜひコメントなどいただければと思います。












普通に考えるなら、いくらエコな電動バスとはいえ、1回の充電で4キロしか走らないようではまったく使い物にならない。これまた当然の反応である。ただし、条件を一つだけ確認して欲しい。これは市バスの話なのだ。

もう、おわかりになっただろうか?

この市バスは電池を積んでいない。だから充電してもせいぜい4キロしか走れない。電池の代わりに積んでいるのがキャパシタ、すなわち蓄電装置である。そろそろおわかりになっただろうか?

ここで少し話を変えてみる。

電気自動車が環境に良いことは、今や誰でも知っているはず。ところがハイブリッドならともかく、電動自動車は高い。なぜ高いかと言えば電池が高いのだ。三菱自動車が出した軽自動車のEVも500万円を超える。

「軽でも、300万円を優に超える電気自動車のコストの3分の1を電池が占める。リチウムイオン電池は原料のリチウムの資源問題があり、大幅なコスト削減は難しい(日経産業新聞2009年10月16日付20面)」。そう電気自動車普及のボトルネックは電池にあるのだ。

種明かしに移ります。

カギは市バスだということ。市バスは、ほぼたいてい停留所で止まる。そして停留所間の距離は4キロ以内である。ということは、停留所で止まるたびに充電すればよいわけだ。そこでキャパシタが効いてくる。

これは30秒もあればフル充電できる。逆にいえば、それぐらいの充電量だから4キロしか走れないのだが、次の充電場所までが4キロ以内なのなら、それ以上に充電する必要はそもそもない。そして人が乗り降りするのだから停留所で30秒は止まる。十分に充電できる。

リチウム電池ではなくキャパシタを使うことで、電気自動車のコストは大幅に下がる。これを上海市では「来年の夏までに200台導入する計画だ(前掲紙)」という。この発想がすばらしいではないかと思った次第。

自動車というとガソリン時代の常識があって、それは『一回給油すれば500キロぐらいは走らないと』という呪縛になっている。これを潔く割り切って、電気自動車なんだから一回の充電で走行距離は30キロぐらいまで。その代わり家のコンセントでも1時間で充電オッケー、みたいにすればどうなるか?

そんなことを教えてくれる中国の知恵だと思った。