【来年3月で取引停止】

 

来年3月で取引停止


発注元から、「事業を海外に移転するため、来年3月で取引を停止する」との通告を受けました。
一緒に海外に来るなら取引を継続して貰えるとのことなのですが、わが社にはとてもそんな体力はありません。
今からお客を探すといっても、これまで1社に依存してきたので、営業もマーケッティングも全く未経験です。
別の事業を始めようとも考えましたが、雲をつかむような話です。
事業を存続させるための方法をご指導ください。
[業種] アルミパイプの定尺切断加工


 売上=顧客数×平均購買単価×購買回数

企業の目的は、売上を増やし続けること、収益を上げ続けること、
これに尽きます。

そのためには、顧客数を増やすことは絶対条件ですが、1社依存は
「超薄氷経営」。これほど危なっかしい話はありません。

1社依存でもこれまで何とかなってきた。これからも何とかなるだ
ろう。

これからは何とかなるという考えが通用することはありません。
とにかく《お客を探す》。残された道はこれだけです。

「強み」を見つけて「強み」をアピール
たとえ1社依存経営といっても、これまでの取引を通じて培ってき
た会社の強みは必ずあるはずです。

この会社は「アルミパイプの定尺切断」を永年やってきています。
その間、お客の厳しい要求に対応しながら少しずつ蓄積してきた
技術が必ずあるのです。

「いや、うちは、どこでも持っているロータリーカッターで、長尺
パイプを決められた長さに切っているだけで、特別な技術はありま
せん」

しかしながら、1社とはいえ、永年取引を続けて貰っているわけで
すから、他所ではできない特徴、「独自技術」があるはずです。それ
が本当にないのならば、価格競争に晒されて、とうに取引を停止さ
れていたかもしれません。

細かくヒアリングをした結果、この会社の強みは、「高寸法精度」と
「端面の仕上精度」であることが分かりました。
おまけに、切断時に発生する「切り粉」を丁寧に除去しているため、
切り粉がパイプに付着して傷を付けることが無く、納入品のクレー
ムもほぼゼロを保っていたのです。

紹介戦略
新規にお客を増やすことほど、難しいものはありません。ましてや
営業もマーケティングも無縁の経営をしてきた会社ならば、尚更で
す。

「自分でできないのならば、人の力を借りる」

これはビジネスの原則です。
新たなお客を紹介して貰うことを考えればいいのです。
しかし、ただ、「どこか紹介してください」では、紹介を頼まれた方
も紹介のしようがありません。

「わが社は○○技術についてはどこにも負けません。貴社にも十分
評価いただいています。この独自技術を生かせる会社をぜひご紹介
ください」

取引を打ち切るほうも後ろめたさを感じていますし、技術は評価し
てくれています。

その取引先のはからいで、ポリエチレン被覆鋼管を製造している
会社を紹介していただき、パイプの定尺切断だけでなく、切断面
にジョイント金具を取り付ける仕事をいただくことができました。

今回のキーワード : 紹介戦略