3D立体ペーパー 切絵シリーズ
こんなノンアルコールビールが飲みたい!
- 2012/04/13 07:00
- 投稿者: takebayashi カテゴリ:ポジショニング
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新製品3ブランドを飲んで比較しながら
「こんなポジショニングがあれば売れるのに」と妄想してみました。
前年対比24%増
景気が悪い、モノが売れないと言われるけれど、売れるべきものはしっかり売れている。ノンアルコールビールだ。ビールや第三のビールなどビール系飲料の市場が縮み続けているのとは対照的に、ノンアルコールビールは、今年も前年比で1割程度伸びそうだという(日本経済新聞2012年4月12日付朝刊)。
筋金入りのビール好きといっていいはずの筆者も飲んでいる。なぜ「筋金入りの」などと偉そうに称するかといえば、食品に関して現在でも効力を持つ最古の法律に従ったビールしか基本的に飲まないからだ。最初にこの法を意識したのは『ホルステイン』を飲んだ時で、それ以降ビールと言えば『ビール純粋令』に則った、すなわち「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」ものしか飲まないようにしてきた。
それがなぜにノンアルコールなのか。ビールもどきともいえる飲み物を口にする理由は、極めて単純明快。毎日毎日、酒のんでちゃまずいよなあと反省したからだ。だったらビールもどきなどでごまかさずに、お茶でも飲んでいればいいではないか、と言うなかれ。それではさびしいのである。食事が楽しくないのである。晩ご飯は、飲み物と一緒にゆったりと食べたいのである。そこでノンアルコールビールの出番となるのだ。
たまたま日経新聞『新製品バトル』のコーナー(前掲紙)に、3ブランドの比較が出ていた。各ブランドのポジショニングは、ざっと下記のようになるだろう。シェアトップは、ここには抜けている「サントリー・オールフリー」だという。
おもしろいのは、一番後発の「アサヒ・ドライゼロ」。普通はノンアルコールとはいえ麦汁を使い、少しでもビールらしさを出そうとするところを、ドライゼロは最初から麦汁を一切使わない戦略をとった。そして筆者が一番よく飲むのは、実はこのドライゼロだ。アサヒの製品企画担当者が、どんなコンセプトで企画に臨んだのかはわからないが、原料をビール系にこだわらなかった割り切りが、逆に一番「飲める」ノンアルコールを生んだのではないか。
個人的にはビール系の材料を使って、ビールに近づけようとすればするほど、嘘臭さが気になる。これに対してビールに近づけるのではなく、いっそのことまった新しい飲み物として開発された(のだろうか、本当に?)方が、逆に飲みやすいドリンクとなった。
けれども、各社ともに決定的に欠けている視点があるように思う。CMなどを見ていると、昼間飲んだり、スポーツの時に飲んだり、クルマを運転していたりする。要するにノンアルコールビールは、お酒を飲んでは『いけない』ときの代用品として扱われているのだ。
それならばぜひ、試してほしいポジショニングがある。『食事を楽しむ/美味しくする』ポジショニングである。なぜ、ここが抜けているのかといえば、おそらくは既存の本物のビールとのカニバリゼーションを避けるためなのだろう。だからこそ、きっちりと商品開発して先に出したところが独り勝ちするような気がするのは、勝手な思い込みだろうか。