5月17日の数字:280円均一で伸び率50%

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ビールのおいしい季節になってきました。
ちょっと焼き鳥で一杯、
そんなとき、どのお店を選びますか?
280円均一価格で成功している『鳥貴族』さんに
成功の秘訣を見に行かれてはいかがでしょう。

4P分析→Price:特化の均一価格

日経MJが、毎年実施している飲食業調査によれば、前年対比伸び率で『鳥貴族』が第三位に入った。伸び率にして49.3%と急角度の右肩上がりである(日経MJ新聞2010年5月17日付1面)。

鳥貴族は関西圏で170店を展開する居酒屋だ。特徴は3点ある。まず全品の価格が280円均一であること、焼き鳥を中心とした鶏料理にメニューが限定されていること、そして(筆者が行った4店に関しては)従業員の応対がめちゃくちゃよいこと。

まず価格に驚く。焼き鳥はたいていが2串で280円だ。1串なら140円であり、これは高いのではと一瞬感じるが、ボリュームがあるので納得感、お値打ち感は高い。

もちろん原価率はアイテムごとによって異なるのだろうが、280円でこれが食べられるのかという、驚きメニューもある。しかも、キャベツは280円でおかわり自由である。ということは何人かのグループでキャベツを一皿頼み、みんなでどんどん食べておかわりしてもかまわない、のだ。

普通の食べ放題や飲み放題サービスをするファミレスであれば、そういう食べ方は断固として拒否される。店内に注意書きが貼りだしてあるし、もし実際にやる客がいれば「お客さん、それは困るんですけれど」と店長が飛んでくるだろう。

ところが鳥貴族のスタッフは「おかわり」といえば「喜んで」と応え、にこにこしている。愛想が抜群によいのだ。おそらくは、ほとんどがバイトの学生さんなのだろうが、教育が行き届いている。というか、今どきの学生アルバイトさんたちを、よくあそこまでのニコニコ&お客様への気づき・気配りレベルにまで躾けているなと感心する。

筆者が訪れた店では、仕事時間の終わったバイトさんが帰りがけに、自分が担当したお客さんのところで「私は今日はもう上がりで、帰りますが、どうぞ、また来てください」とあいさつしていた。居酒屋のアルバイトさんから、こんなあいさつをするシーンは、未だかつて見たことがない。

安くて、うまくて、愛想がいいのだから、流行って当然だろう。

ポイントは、ワンプライスで行くと決めたプライス戦略の妙にある。280円を決め、そこからすべてを逆算していったはずだ。出店戦略についても居抜き物件に限り、しかも1階に飲食店のあるビルの上階を狙っている。

つまり、そのビルの前までは必ず来る客がすでに確保されていて、そこで安さ・うまさ・愛想の良さで勝負を賭けるわけだ。極めて戦略的に考え抜かれているのが、鳥貴族のすごさだと思う。