5月11日の数字:中国13,000人vs日本5,700人

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留学先として選ばれる国なのかどうか。
こうした視点で、自国を見直したときに見えてくる問題点とは?

PEST分析→将来環境の予測

アメリカの学生が留学先として選ぶ国は、アジアでは日本ではなく中国になっている。ちなみに1位はイギリスで33,000人、2位はイタリアで30,000人、スペイン、フランスと続き中国が5位となっている(→ http://www.iie.org/en/Who-We-Are/News-and-Events/Press-Center/Press-Releases/2009/2009-11-16-Americans-Study-Abroad-Increasing

5,700人の日本は11位だ。2000年ぐらいまでは日中は並んでいたのが2001年に抜かれ、2002年にはSARS騒ぎで中国が減ったものの、それ以降は右肩上がりで増える中国に対して、差は開く一方だ(日経産業新聞2010年4月22日付11面)。

なぜアメリカの学生は留学先に、日本より中国を選ぶのだろうか。要因はさまざまに考えられるが、おそらく第一には物価の安いことが挙げられるのだろう(前掲紙より)。経済成長が著しいとはいえ、日本と比べれば中国の物価はまだ安い。学生にとっては生活費のかからない国の方が良いというわけだ。

しかし、生活費が安ければ、それで留学先として文句がないかといえば、決してそんなことはない。学ぶ環境として日中のどちらがよいかも、まじめな学生なら当然考えるだろう。となったときにも、やはり中国の方を選ぶのではないか。

なぜなら、中国ではトップクラスの大学は英語で講義が行われているから。この点は、日本との決定的な違いとなるはずだ。さらに、もう一点。学生の向学心、向上心に関してはどうか。これも残念ながら日本の学生より中国の学生の方が高いように思う。

現状を放置するとどうなるか。中国に留学した学生は当然、中国を深く理解するようになり、その結果としてシンパシーを抱く人が増えるだろう。この状況が仮に今後10年続けばどうなるか。

中国への留学経験者がアメリカ社会でそれなりのポジションを占めるようになったとき、日本と中国のどちらに対して、アメリカはより親しみを抱くようになるのか。そのとき、アメリカにとっての日本は、どんな位置付けになるのか。

10年ぐらいの時間は、すぐに経ってしまう。しかし、過ぎ去った10年を取り戻すためには、10年以上の年月が必要となる。今すぐにでも、企業レベルでの留学生誘致を考えるべきだと思う。