4月20日の数字:牛丼特大盛り730円パート2

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吉野屋の特大盛りについて
ベーシックなマーケティング分析をしてみると
何が見えてくるでしょうか。

特大盛りを分析すると

食べてみると腹一杯になった。特盛りとの違いは明白である。違いはたまごが教えてくれる。すなわち特盛りと同じように、たまごを真ん中に落とすとどうなるか。たまごがご飯にしみ通るように、少し深めに穴を掘る。ここで異変に気づく。特盛りの場合は、表皮の牛肉層がそれほど分厚くない。よって、少し肉をかき分けるとすぐにご飯層が顔を出す。

ところが、さすがに特大盛りである。ちょっと掘ったぐらいでは、ご飯ゾーンには届かない。すなわち、牛肉の盛り具合が特盛りを凌駕している。当たり前といえば当たり前だけれど、これはうれしい裏切りである。味は、いうまでもない。吉牛の味だ。何も問題はない。

これをどう考えるか。

吉牛にとっての旗艦商品と捉えるべきなのだろう。吉牛といえば、肉である。こだわりのアメリカ産牛肉に、あの味をつける。その肉をこれでもかというぐらいに載せた特大盛りこそは、吉野屋のフラッグシップ商品。そんな位置づけで出されたのだろう。


並盛り二杯分以上の価値はあるのか

この特大盛りが730円である。これにたまごをつけると780円である。千円札を出して受け取るおつりでは、スタバのコーヒーを買うことはできない。牛丼を食って、コーヒーを買って、仕事場でひと休みパターンを実行するには、予算オーバーである。そもそも牛丼に800円近く出すというのは、ちょっとびびる。

それでも確かな満足感があれば、価値/対価バランスは十分に成立する。

その意味では、この特大盛りは「あり」だと思う。そして、この特大盛りこそは、吉野屋の牛肉の味ファンを再び、吉野屋に引き戻す可能性がある。価格競争に巻き込まれて、やや不利な状況に置かれている吉野屋にとっては、起死回生をかけた新商品ではないか。


プライシングにひと工夫あれば

ただし、プライシングについてはもう少し考慮の余地があるように思う。特盛りが630円なのだから、特大盛りも600円台に抑える手はなかったのか。

吉野屋のキャンペーン戦略といえば、これまでは並盛りをいかに安くするか、競合と比較して負けない価格にするかに偏りすぎていた。吉野屋のようにブランドがきちんと確立できている場合なら、価格ではなくブランドで勝負する戦術もありだ。オレンジの色だけで、牛丼ラバーには吉野屋を思い起こさせるほどのブランド力をもっているのだ。

ここは一番、真の意味のプライスリーダー、つまりコストパフォーマンスリーダー戦略(筆者の造語、今ググってみたところ検索結果はゼロだった)を徹底し、特大盛りをシンボル商品とすれば、どうなのだ。これならば、マーケティング基本原理STPをきっちり抑えきった商品となり得ると思うのだが、いかがだろうか。