3月31日の数字:30万円で永久に雇えるカメラマン

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イニシャルコスト30万円で、
ランニングコストはほぼ永遠にゼロ。
そんなカメラマンがいたら
御社では採用されますか?

「筑波大学発ベンチャーのMDDクリエイティブは商品の3次元画像を簡単に作成できるソフトを開発した(日本経済新聞2010年3月31日付朝刊15面)」。デザインデータから3次元画像を起こすソフトである。

たとえばカレーのパッケージをチラシに掲載したいとする。その場合は、パッケージに使われているロゴなどのデザインがあれば、そこから立体的な画像、つまりパッケージを実際に撮影したのと同じ画像を創り出すことができる。

価格は最低30万円からで、機能や画質の違いにより最高でも140万円で収まる。このソフトの登場が、何を意味するか。一つの職業の終焉につながる可能性があるということ。その職業とは、商品撮影カメラマンだ。

チラシやカタログなどに商品を掲載する場合、その画像データが必要になる。扱われる商品によって、あるいは掲載される紙面によっては、デザイナーのイメージを的確に反映した撮影が求められる。ここはデザイナーとカメラマンの共同作業である。

が、このソフトを使えば、共同作業がデザイナーの単独作業で完結する可能性が高い。むしろ、デザイナーがより自由に、より正確に自分のイメージ通りのビジュアルを作り込むことができるだろう。

このソフトがもたらすコストメリットは強烈だ。商品撮影のコストはピンキリだけれど、仮に1カット10万円だとしてもわずか3カット分で元が取れてしまう。

ハイエンドバージョンでは140万円とはいえ、それなりにイメージに凝った撮影をすれば、1カット数十万円になることはある。イメージ撮影数回分で採算は合ってしまう。

カメラマンにこれからも撮影を頼み続けるより、このソフトを導入した方が、どう転んでもトータルコストは安く付く。もちろん、いきなり全国一斉に、商品撮影カメラマンに対する需要がなくなることはないだろう。

しかし、いわゆるDTPが普及することによって写植屋さんや製販屋さんがその職を奪われていったように、このソフトが(おそらく似たようなソフトが引き続いて出てくることも含めて)商品撮影カメラマンの仕事を奪っていく可能性はあるだろう。

自分がいまやっている仕事に、コンピュータサイエンスの発達によって淘汰されるリスクがあるのかどうか。こうした観点から、自分の仕事や能力の棚卸しをすべき時代になっているのだと思う。