3月10日の数字:30センチで3万9000円

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羽根のない扇風機。
ダイソンからの新製品です。
この○○のない□□という考え方は発想法に応用できそうです。

ダイソンがおもしろい扇風機を出した。その名を「エアマルチプライア−」という。これが実にあり得ないというか、まったくもって非常識な扇風機といっていい。なぜなら、この扇風機にはなんと、羽根がないのだから(日経MJ新聞2010年3月10日付14面)。

羽根なしで、一体どうやって風を吹き出すのか。「モーターを内蔵した土台部分の吸気口から吸い込まれた空気が上部の円形パーツのわずか1ミリメートルの開口部を通って円形気流を形成し、吸い込んだ空気の15倍の風量を生み出すというしくみ(前掲紙」らしい。

まだ実際にこれが動くところを、この目で見たことがないから、確かなことはいえない。しかし、身近に目撃者はいる。テレビでもやっていたようだ。ましてや日経MJ新聞が大きく取り上げているぐらいだから、どっきりニュースじゃないことは間違いないわけで、ということは実際にちゃんと風が出るのだ。この羽根のない扇風機からは。

では、この羽根のない扇風機に一体どんなメリットがあるのか。

掃除がしやすいとか、子どもが間違って手を突っ込んでもケガをする心配がないとかは、誰でも思いつくだろう。しかし、ダイソンが狙っているのはそんな具体的なメリットではないはずだ。

あくまでも個人的な推測に過ぎないが、この扇風機を買うことによって得られるメリットとは『自分は「ダイソン」の扇風機を持っている』という心理的満足感だと思う。あるいは「自分の住まいには『ダイソン』の扇風機が似合う」満足感といってもいいかもしれない。

この扇風機は、それぐらい置かれる場所を選ぶ。残念ながら、我が家ではどこにエアマルチプライアーを置いても、おそらくは強烈な違和感を醸し出すだろう。

もちろん扇風機としての性能はきっちりと押さえられているはずだ。だから機能的に優れていて、その上、デザインも素晴らしい。それがダイソンの扇風機が普通の扇風機の10倍以上の価格で売れる理由だ。

それにしても「羽根のない扇風機」型発想は、ほかにも応用が利くのではないか。「火のないコンロ」発想からIHクッキングヒーターが生まれたように。「あるべきはずの○○がないモノ」はアイデア出しに使える発想法だと思う。

例えば「紙のないノート」とか「インクのないペン」、「モニターのないパソコン」等々、ほんと、いろいろ使える発想法になりそうだ。