2月10日の数字:4LDKで4000万円

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日本品質/日本価格が世界に受け入れられる。
そんな時代になってきているようです。

分譲マンションが完売の勢いなのだという。日本なら当たり前(景気の悪い最近ではちょっと異例)ぐらいのニュースなのかもしれないが、中国での話となると、これは注目ではないか。

大和ハウスが中国・蘇州で高層マンション群を開発している。これに対して「特に湖を見渡せる高層階への関心は高く、4月の発売を前に早くも『値段はいくらなのか』という問い合わせが殺到している(日経産業新聞2010年2月10日付1面)」。

その価格が4LDKで4000万円。かなり強気の価格設定だったと思われるのだが、それでも「売り切ることが可能なのでは(前掲紙)」と大和ハウスでは手応えを掴んでいるようだ。

この価格が、一般的な中国の人にとってどれだけ途方もないものであるか。一例を出しておくと、5年ほど前に筆者がたびたび中国を訪れていた頃、湖南省長沙市近郊のローカルな街なら、日本円にして数百万円で立派なビルが建つという話があった。ビルを建て、最上階に住み、残りはテナントとして貸せば、一生安泰。そんな話だ。

いうまでもなく中国は、苛烈なまでの格差社会となっている。だから数千万円出して住まいを買える人たちがいても、何も不思議ではない。何しろ中国流の富裕層(うろ覚えだけれど、確か資産1000万円以上を持っている人だったと思う)だけで、全人口の5%ぐらいはいるはずだ。

相対的なパーセンテージは低くとも、母数となる絶対数が巨大である。仮に5%だとしても、それだけで7000万人ぐらいになる。

大和ハウスの事例から学ぶべきは、そうした巨大な富裕層マーケットが中国に成立しているという事実だろう。一歩突っ込むなら、日本流の「高品質/適正価格」を受け入れる人たちが、巨大な数で存在するということでもある。

今回、大和ハウスが中国に進出した背景には、同社・樋口会長に「自動車だけでなく、住宅でも中国は有望市場(前掲紙)」とのアドバイスを、トヨタの奥田相談役がしたからだと伝えられてもいる。家電製品から始まり、自動車そして住宅ときた。

次はなんだろうか。そして高品質/適正価格を受け入れるマーケットは、消費財だけなのだろうか。あるいは、中国の次は、どこなのだろうか。また、日本製をまともに打ち出すのが得策なのか、それとも中国の人たちの感情を考えるなら中国企業との提携はどうなのか。

いろいろな気づきを与えてくれるニュースだと思う。