10月15日の数字:失業予備軍250万人

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年明け早々、失業者が街にあふれる。
しかも今回は、正社員が失業する。そんな悪夢がささやかれています。

トヨタが当初計画より増産とか、デジタル家電に復調の兆しで季節従業員を再雇用とか。少しずつ雇用状況は回復しつつあるのか、と思えば、どうもそうではないらしい。

「来年2月に失業者が急増するという危機説がささやかれ始めた(日本経済新聞2009年10月14日付朝刊1面)」そうだ。実は今でもやむなく一時休業させられている人がたくさんいる。とはいえ彼らはまだ、失業にまでは追い込まれていない。雇用調整助成金が支給されているからだ。

「企業の一時帰休などの費用を政府が肩代わりする雇調金の支給対象者は今年2月から急増し、8月で255万人。1千人前後で推移した2007年度をはるかに上回る(前掲紙)」。

ものは言い様、記事は書き様とはよくいったもの。この記事からは日経の微妙なポジショントークがうかがえる。記者は(あるいはデスクは)「2007年度を『はるかに』上回る」と書いた。2007年度が1千人で今年8月が255万人ということは2550倍である。私なら「とんでもない」ぐらいの表現を選ぶだろう。

「野村證券金融経済研究所は過剰な労働力を250万人と試算(前掲紙)」しているらしい。この数字はちょうど雇用調整助成金をもらっている人の数とほぼぴったり合う。要するにこれぐらいの規模で仕事の数より人の方が多い、ということだ。

大企業から中小企業までをあわせた日本の企業数は、全部でざっと400万社といわれる。めっちゃくちゃおおざっぱな計算では2社に1社ぐらいの割合で余剰人員を抱えていることになる。あるいは上場企業が確か4万社ぐらいだったから、余剰人員を上場企業に限るとすれば1社あたり60人。これまた「とんでもない』数字だ。

もちろん実際にはもっと余っている企業があり、逆に人不足に悩まされているところもあるのだろう。もし御社がいま人手が足りないのならば、人手不足を解消する絶好のチャンスである。

逆に人が余っている場合は、どう考えればよいのだろうか。現状で考えるから仕事が足りないのだ。であるなら、選択肢は三つ。仕事を取ってくるか、新しい仕事を創り出すか、余っている人材に辞めてもらうか。

幸運にも今のところ過不足感がない場合はどうか。現有戦力の『稼げる化』を目指すべきだろう。そんなの簡単にいくはずないことは誰でもわかっている。しかし、ここで少し考えてみよう。稼ぐということは、稼がせてくれる相手がいるということ。お客様である。

まずは既存のお客様が、自社のどこを、どう評価してくれているのか。そこをしっかり聴くことから始められてはいかがだろうか。