10月12日の数字:海外売上高比率を50%超に

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ユニ・チャームの海外展開には、実は悲壮な決意が秘められていた。
なぜ、同社はインドネシアでの展開を狙っているのか?

つい先日取り上げたばかりだけれど、もう一度ユニ・チャームについて。「同社の海外事業は乳幼児用と生理用品が中心だが大人用も主力に育て、2012年度に海外売上高比率を現在の37%から50%超に引き上げる(日経産業新聞2009年10月9日付15面)」

活路は海外にしかない。これが高原社長の認識だ。なぜか。日本国内は人口が減っていくからである。理由は極めて単純にして明快、そしてシビアである。人口が減る国の未来について、徹底してクールな認識が見て取れる。およそ人口が減っていく国で成長可能なビジネスというのは、そんなに多くはないのだ。

そのことをどれだけの経営者が、どこまで危機感を持って理解しているだろうか。おそらくあと10年ぐらいはまだ、何とかなるのである。国全体を含めて過去の蓄えがあるから。それを食いつぶしてしまったら、どうなるかを、どの時点で考えるかが決定的に重要なのだろう。

そして、これまで蓄積してきた技術力なり製品力なりが、世界でいつまで通じるのかを考える必要もある。ユニ・チャームが攻勢をかけるのはインドネシアなどの新興国だ。同国では大人用紙おむつの市場はまだ数億円程度にとどまる。ちなみに同社は大人用紙おむつについては、日本での12年度の売上げを750億円と見込んでいる。

これから比べるとインドネシアの市場規模は、まだ日本の百分の一しかない。『だから』参入するのだろう。何しろインドネシアは世界第四位の人口大国、2億2千万人も人が暮らしている。所得水準はこれから上がり、高齢者は増えていく。まさに大人用紙おむつマーケットが、これから立ち上がるというわけだ。

そこでどれだけイノベーターをつかみ、アーリーアダプターに浸透することができるのか。現地製品に比べて割高にならざるを得ないユニ・チャーム製品とあれば、早期展開によるブランディングが成功のカギを握る。そんな読みがあるのではないだろうか。

おもしろいのは同社の製品開発手法だ。ライバルのP&Gが進出を狙う「各国で大規模な消費者調査を行って商品開発へつなげている。我々はそんな投資はできないので、一人ひとりの顧客に対する家庭訪問を繰り返し、顧客ニーズを掘り起こしている(日本経済新聞2009年10月11日付朝刊
7面)」

家庭訪問をする理由は決して「投資ができない」からではなくて、デプスインタビューをする方が製品開発には「より有益な」情報を得られるからだと推測するのだが、違うだろうか。