8月21日の数字:埋蔵量12億トン

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世界の現有埋蔵量の10%以上を占める資源が日本にある。
嘘みたいな本当の話です。
日本が一年に生産する粗鋼生産量は約1.2億トン。その10倍にもなる12億トンもの鉄スクラップが日本にはあるという。「だが技術上の限界から、健在なと一部の用途しか使われてこなかった(日経産業新聞2009年8月18日付1面)」というから、何とももったいない話だ。

鉄スクラップは再生可能な資源である。これを「原料としながら、鉄鋼製や石炭から鉄を作る『高炉と同等の高機能品を作り出す』」ことを目指している企業もある。石油のように一度燃やしてしまうと再び回収することは困難な資源とは異なり、鉱物資源は意外に再利用が可能だ。

そして、こうした再利用可能な資源といった視点から見直してみれば、日本は思いもよらぬ資源大国としての姿を現す。これを『都市鉱山』という。

日本の都市鉱山にどれだけの埋蔵量があるか。例えば金なら6,800トンで、これは全世界の現有埋蔵量の約16%にあたる(以下、数字は独立行政法人・材料研究機構のサイトを参照)。銀は60,000トン(=世界埋蔵量の22%)、インジウムなら61%もある。驚くほどの資源大国である。しかも今話題のレアメタルもその中に多く含まれる。

これは少し考えてみれば当たり前のこと。そもそもレアメタルを筆頭としてそうした資源が必要な最先端家電や自動車などが日本には製品としてたくさんある。そうした製品が廃棄されれば都市鉱山の埋蔵物としてカウントされることになるわけだ。その代表例が携帯電話やテレビである。

ここには明らかなマーケットが存在する。都市鉱山を実際の鉱山と見立てるなら、採掘技術(廃棄物から鉱物資源を取り出す技術)、精錬技術(取り出した資源を不純物を取り除いて純度を高める技術)、加工技術、製品化技術から運搬技術まで通常の鉱物資源が製品化されるまでのプロセスが、そのまま都市鉱山でも求められるはずだ。

その一部で良いから自社の保有技術を応用する可能性はないか。あるいは自社単独で難しいなら、どこかとアライアンスを組むことでビジネス化を図ることはできないか。せっかく目の前に世界有数の資源が眠っているのだから、これをみすみす見逃す手はない。