8月7日の数字:2012年と2015年

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自動車業界で起こっているパラダイムシフト。
そのゴールは2012年と2015年だ。

電気自動車を2012年までに、燃料電池自動車を2015年までに。それぞれ米国で投入する方針をトヨタが発表した(日本経済新聞2009年8月6日付朝刊1面)。これでトヨタのエコカーのラインナップはひとまず完了する。

燃料電池車が本当に6年後に出てくるのかどうかについては、少し疑問が残る。課題となっている水素をどうやって運び、あるいは補給するのか。この問題が解決されていないと思うからだ。

実際「水素吸蔵合金」なるものを研究している大学の先生に話を聞いたところ、水素の運搬についてはまだまだブレイクスルーが必要だとのことだった。が、逆に考えれば、いまトヨタが6年後の燃料電池車デビューを公表したということは、この問題に何らかの解決策を見つけたのかもしれない。

だとすれば、これはえらいことである。

ちなみに同じ日の日経の関西版には京大の教授がリーダーを務める「オールジャパン」体制で次世代燃料電池の開発が国策として決まったという記事があった。これに政府は年間30億円、トータルで210億円の予算を投入するとある。

参加メンバーはとみれば、トヨタ、日産、ホンダ、三菱の各自動車メーカーに、ジーエス・ユアサ、三洋電機、パナソニック、日立マクセルなどの電池メーカー、そして京大、東北大、早稲田に九州大学などまさにオールスターである(京大が入っているので東大は入らないけど)。

明らかにパラダイムシフトが起こっていると考えるべきだろう。すなわち旧来型のガソリン自動車はほぼ間違いなく衰退期に入ったのだ。この転換が裾野の広い自動車産業に与える影響は計り知れないレベルに及ぶ。日本の産業構造が根底から覆るといっても過言ではないぐらいの衝撃がやがてくる。

「その時」にどれだけ早くから備えることができるのか。「その時」にどんなビジネスチャンスが生まれるのか。自分が今、まさに時代の転換期に立ち会っていることをひしひしと感じる。