7月24日の数字:戻っても7割

  • 投稿者:  
  • 表示回数 1,455
景気回復の動きから取り残れているのが中小企業だ。
この先をどう読めば、明るいきざしが見えてくるだろうか。

そろそろ大手企業の間では、景気底入れから反転のきざしが出始めている。今回の世界的不況の引き金を引いたアメリカの金融業界でも業績は復活しつつあるという。

ところが、先行きについて極めて厳しい見通ししか立っていないセクターもある。日本の中小企業だ。「中小企業の多くが景気の底入れを実感できないでいる。今後受注が本格回復しても「ピーク時の7割の水準にしか戻らない」と悲観する企業が多く、原材料価格の上昇も重しだ(日本経済新聞2009年7月22日付朝刊15面)」。

どうしてだろうか。

あくまでも個人的な推測だけれど、今回の大不況を大手企業は仕入れ先をガラガラポンする絶好の機会と捉えたと考えればどうなるか。仕入れ先を絞り込み、発注量を増やすことを条件にコストを下げる。といえばゴーン社長が日産に乗り込んできて真っ先にやったことだ。

同じことをやろうと考えている大企業が多いと考えれば、辻褄が合いはしないか。それが総合的に見て受注は7割しか戻らないという諦念として表面化しているような気がする。ニュースとして新聞が取り上げるのはセンセーショナルな悲劇の方だ。だから、戻っても7割の裏には前年対比で倍増などという企業もあるような気がする。

もう一つ考えておくべきは、一気にハイブリッド&電気自動車にシフトしている自動車業界に象徴されるように、産業構造が大きく変わりつつあること。自動車がエンジンではなくモーターで動くようになると、そのパーツは根底から変わってくる。そしておそらく、自動車業界の流れは今後、加速することはあっても逆流することはないだろう。

その底流にあるのは『環境対応』だ。戻っても7割では多くの企業で採算を取るのが極めて厳しいはず。ここは試練ではあるけれども、3割を埋めにいくといった中途半端な覚悟ではなく、事業再生もしくは新事業立ち上げぐらいの意気込みで立ち向かってはどうか。進むべき方向ははっきり『エコ』と示されているのだから。