7月1日の数字:平均年齢51.7歳

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マーケティングにはさまざまなフレームワークがあります。
フレームワークは考えるキッカケとして、知っておいて損はないもの。
今回は、アンゾフのマトリックスをご紹介します。

マーケティング分析
アンゾフ・マトリックスを使ってみる

平均年齢51.7歳。「日本の消費市場を人間に例えれば何歳と思うか経営者に聞いたところ(日経MJ新聞2010年6月4日付1面)」の答である。5年前に同じ調査をしたときの答が、平均43.4歳。一挙に8歳も老け込んでしまったわけだ。

老けたというと語弊があるかもしれない。何しろ、人口が縮小していく日本の市場の中で、今や残された希望のボリュームゾーンが団塊の世代である。加えて団塊ジュニアの方たちが、何とか次点で残っている。

では、このシルバーの方々にどうやってアプローチするのか。ここで活用してみたいのが、アンゾフの成長マトリックスだ。これは市場と製品の二軸をとって、既存・新規の二つの切り口で考えるフレームワークである。

既存製品で新規市場を攻めるのは、新規市場開拓戦略である。
新規製品で既存市場を攻めるのは、新製品開発戦略である。
新規製品で新規市場を攻めるのは、多角化戦略である。
既存製品で既存市場を攻めるのは、市場浸透戦略である。


すでにシルバー層を顧客として定めている企業ならば、取るべきは新製品開発戦略となる。これまでシルバー層を顧客としていなかった企業なら、新規市場開拓と多角化の二つの戦略が考えられる。では、具体的にはどんなことが考えられるのか。

例えばシルバー層のためのカルチャー教室を運営していた企業が、既存顧客であるシルバー層に対して、新しい商品を提供する。カルチャー教室を通じて、高い顧客満足度を得れているなら、相手に対する高い信頼度が購入要因となるような高額商品の販売が考えられる。こだわりの旅行などが、典型的ではないだろうか。

新規市場開拓は、20代や30代の人たちを対象にデザインされたファッションを、シルバー層に売るという案がある。団塊世代のマインド年齢は、実年齢より10歳以上若いという。売り方、店の雰囲気作りによっては、十分にあり得る選択肢だと思う。

多角化戦略でシルバー世代を攻める例としては、レストランが通常の夜の時間帯より早い時間に、シルバー向けのメニューを割安価格で提供する、という案があるのではないか。トワイライトメニューとでも名付けて、消化に良くて、噛むのにも負担にならない食材を使う。時間限定サービスである。

アンゾフの成長マトリックス自体は、マーケティングの世界ではすでに確立されたフレームワークだ。こうしたフレームワークは、何か新しいことを考えるために、知っておいて損することは決してないと思う。