携帯パーツメーカーが生き残る道

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携帯メーカー各社の売上が激減している。あのシャープでさえ、前年対比2割程度のマイナス。今年はすでに国産メーカーが2社、携帯事業からの徹底を表明している。パーツメーカとして考えるべき対策は何だろうか。

携帯電話事業からの撤退


今年初め、三菱電機が携帯電話事業からの徹底を表明した。そして3月10日にはソニーが撤退声明を出した。同社はいま「ソニー・エリクソン」ブランドの携帯電話をドコモ向けに3機種、au向けに2機種展開している。そのうちドコモ向けからの撤退が3月10日発表された。au向けを継続する理由は、KDDIとは音楽配信事業で提携関係にあるため。もし、この提携関係がなければau向けからの撤退も当然、考えられていたはずだ。


ここで少しおさらいしておくと(日本経済新聞2008年3月10日付け朝刊1面参照)、ソニー・エリクソンの世界シェアは9%で4位、販売台数は1億300万台となっている。クープマンの法則にあてはめて同社のシェアを見るなら、世界でも市場的認知シェアとなる10%を切っている。事業継続の検討を行っても決しておかしくはない状況だ。


日本国内でのシェア状況を見れば、国内販売台数は360万台でシェアは8%、これは6位になる。事業規模は2000億円程度と見られる。すなわち現状では一機種あたり100億円に上る開発コストを吸収するのは容易ではない。国内では7位以下だった三菱電機がすでに撤退し、三洋電機が事業を京セラに売却している。いずれも真っ当な経営判断といっていいだろう。


パーツメーカーへの影響


完成品メーカーのこうした動きには当然、傘下にあるパーツメーカーも深刻な影響を受けるはずだ。三洋電機のケースのような事業売却であれば、まだパーツ供給も継続される可能性が残る。しかし撤退となればほぼアウトだろう。仮に現在の国内市場で考えるなら、ソニー・エリクソン以下のシェアしか持たない企業はいずれも事業撤退を選択肢として考えているはずだ。


逆にいえば、国内携帯メーカーは、シェアトップのシャープ(21%)、松下(11%)、東芝(11%)、NEC(10%)ぐらいが今後も辛うじて事業を継続する可能性があり、次点に位置する富士通(8%)あたりは危なく、それ以下は推して知るべしといったところか。


iPhoneが引き起こす変化


ただし携帯に関してはさらなるかく乱要因もある。Apple/SOFT BANK連合が出したiPhoneが今後、国内でどれぐらいのシェアを取るのか。また、どこまで価格を下げてくるのか。何しろ現行iPhoneの生産コストは174ドルだと推定されている。旧型iPhoneが227ドルだった模様で、そこから23%ものコストダウンを実現しているのだ。まだまだ価格は下がる可能性がある。


さらに不確定要素ではあるが、Googleが噂されるgPhoneを出す可能性もある。そのとき日本のケータイマーケットはどう変わるか。こうしたエンドユーザーマーケットの動きをパーツメーカーも注視しておく必要がある。ことは携帯電話だけに限った話ではない。


三菱自動車、史上初のマイナス目標設定


たとえば自動車では遂に三菱自動車が国内販売目標を前年対比マイナスで設定した。自らマイナス目標を設定するなどというのは恐らく国内自動車業界の歴史始まって以来の珍事といっていい。にも関わらずあえてマイナス目標を公表せざるを得なかった事実に、三菱自動車が置かれている苦境が見て取れる。


ということは、仮に私が三菱自動車オンリーのパーツメーカーの経営者だったら、即座に三菱に換わるクライアント開拓に動くか、あるいは自動社メーカー以外のクライアント開拓/製品開発に動くことが至上命題となるわけだ。


パーツメーカーもマーケティング視点を

 

携帯や自動車以外にも似たような状況に置かれている製品はいくつもある。テレビ、DVD、デジカメなどのAV関連製品は言うまでもなく、白物家電も同様ではないだろうか。そうした流れの背景には日本市場が置かれているマクロ環境が影響している。キーワードは成熟飽和市場であり、確定的少子化である。


こうした状況認識を持った上で、さらにエンドユーザーがどのメーカーの製品を好むか。市場で勝ち残れるメーカーはどこなのか。たとえパーツメーカーといえども、そうしたマーケティング視点が求められる時代になっていることだけは間違いないようだ。