5月14日の数字:ポスドク年間1万8000人

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博士号を取っているのに、就職先がない。
そんな優秀な人材を、いかに活用するか。
今こそ、中小企業の出番ではないでしょうか。

PEST分析→Social:大学院卒を狙え

博士号まで取っているのに、仕事がない。いわゆる「ポスドク」が増え続けている。「文部科学省の調査によると、2008年度で1万7945人(日経産業新聞2010年5月11日付1面)」。なんとも、もったいない話だ。

ポスドクが増える理由は、博士号を取る人が増えているのに対して、彼らの就職先となる大学教員に空きがないからだ。これは当然の話で、この十年ぐらいだろうか、大学がどんどん増え続けた結果、大学院を併設するところも増えてきた。つまり博士号取得者は増える一方である。

にもかかわらず、大学の数はすでに飽和状態となっている。なにしろ好き嫌いさえいわなければ、高校を卒業する時点で、とにかくどこかの大学に入ることができるのだ。

大学定員数と高校卒業者数を比べてみた結果、大学全入時代となっているのだ。従って、これ以上大学の数を増やすわけにはいかない。実際、昨年一年で経営破綻した大学が5校もある。おそらく今後、さらに潰れる大学が増えてくるだろう。

ポスドクは、増え続ける恐れがある。

チャンスではないか。これまでなら博士号を持つような人を雇うことなど、考えもしなかった企業でも条件さえ合えば、優秀な人材を手に入れることができるのだ。ポスドクたちも、大学で職を得られる見込みがないのだから、働く場所を探しているはずだ。

「それならば」と考える企業に、一つアドバイスを。

相手がポスドクだからといって、決してこびないことである。もちろん博士号を取るぐらいだから、地頭の良さはもっているだろう。しかし、業務に関して、ポスドクが何らかの経験を持っているかといえば、それはないのである。

だったら、ここは少々高飛車に出ても構わない。当社が求めているポスドクは、こういう能力を持っている人材に限る、ぐらいのことはアピールすべきだろう。

ちょうどいい例がある。ソフト開発のワークスアプリケーションが展開した募集広告である。同社は昨秋、東京工業大学の最寄り駅・大岡山駅だけに、全面にソースコードだけが書かれたポスターを貼りだした。

ソースコードだから、書かれているのは英文と記号だけ。英文といっても普通の人が読んだのでは、さっぱり意味不明である。が、ソースコードを読める学生なら、その意味、つまり新卒募集であることを理解できる。

実に思いきった広告だが、これが見事にピンポイントに刺さった。とんがった人材を求めるなら、募集サイドも目一杯、とんがったスタンスで臨むべき。そんな教訓を、この事例から学べるのではないか。