12月8日の数字:初年度で日本の倍のクルマを販売

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千葉トヨペットが中国で展開する販売店が絶好調のようです。
その秘密は、どこにあるのでしょうか?

中国は浙江省にトヨタの販売店がある。今年の1月から仮営業を始め「11月末までの販売台数は572台。初年度450台という当初目標を期中にクリアした(日経MJ新聞2009年12月7日付1面)」

さて、この販売店を経営しているのはどこでしょうか? これがなんと千葉トヨペットである。同社の日本での店舗数は50店舗、その1店あたりの年間平均販売台数が300台強らしい。中国の店はこの調子ならおそらく600台を超える。すなわち日本の店の倍ものクルマを売る店が中国にできることになる。

繰り返すが、この中国の店を経営しているのは千葉トヨペットである。メーカーのトヨタではなく、販売店のトヨペットだ。これはかなり画期的というか、シンボリックな出来事ではないだろうか。そして、この事例には明らかに学ぶべきヒントがある。

もちろん日本の流通業は早くから中国に進出していた。中国には伊勢丹があり、イオンがあり、ローソンがある。ローソンのバイヤー、イオンのバイヤーたちとは大連、上海、広州で交渉したことがある。いずれも10年ぐらい前の話だ。

ラーメン屋さんもどこか出ていたはずだし、居酒屋も確かワタミフードサービスが上海かどこかに出店していたのではないか。もしかしたら筆者が知らないだけで、自動車ディーラーもすでに中国進出を果たしているのかもしれない。それはともかく、千葉トヨペットは実に良いところに目をつけたと思う。エンジニアである。

同社は「現地スタッフに(サービスの何たるかを)指導するために、本社からサービスの改善担当とエンジニアの日本人社員を1人ずつ常駐させている(前掲紙)」。ここだ。「日本人のエンジニアがいるといううわさはすぐに広まる(前掲紙)」。

なぜか。日本の技術に、日本人の技術力に対する中国の方々の信頼はまだまだ高いのだ。裏を返せば、中国人エンジニアに対する信頼感が低いことを意味する。これはおそらく中国の方たちに共通する皮膚感覚なのだろう。

確かにスワトウの刺繍などではありえないほどの手先の器用さを発揮する中国人がいる一方で、細かいことには極めて鷹揚な方たちもたくさんいるのが、中国の奥深いところだ。いくら気が大きいとはいえ車の整備は命にかかわる。できれば腕の確かな日本人に任せたいと考えるのは、人情だろう。

その結果、たとえ他のディーラーで買った車でも点検だけは、この千葉トヨペットの販売店に持ってくる客が増えているそうだ。

中国の人々は大陸的おおらかさあふれる人たちではあるが、彼らだって日本流のきめ細かなサービスを受けて悪い気のするはずがない。むしろ日本的サービスは上質なものとして受け止められつつあるし、今後その流れが逆行することは絶対にない。

製造業だって同じ。ここにビジネスチャンスありなのだ。