11月27日の数字:水道民営化率1%未満

  • 投稿者:  
  • 表示回数 1,876

水はタダ。しかも品質は保証されていて当然。
そんな、これまでの常識が通用しなくなる時代がやってきそうです。

そこに、どんなビジネスチャンスが見えるでしょうか。
日本の状況である。これがイギリスなら民営化率は9割、アメリカで2割。日本の水道は、まったく民営化されていない。とはいえ何もかも民営化すればいいという話でもない。

日本の水道は「世界最高水準の品質を誇る(日本経済新聞2009年11月26日付朝刊13面)」。民営化されていない結果が、この高品質につながっている可能性は極めて高い。

もっとも民営化されたからといって、品質が下がるわけでもないだろう。ただしコスト構造は変わるはずだ。そう、問題はコストである。何が引っかかってくるのかといえば経年劣化だ。

例えばビルの寿命はだいたい40年だと言われる。これはほとんどのコンクリート系建造物にも当てはまると聞いたことがある。だから昭和40年代ぐらいから整備され始めた、日本の今のインフラは今後、次々と耐用年数を迎えることになる。

水道もそうだ。「日本の上水道の7割は1960年代に整備された。水道設備の耐用年数はおよそ40年(前掲紙)」である。ここであぶり出されるのは、誰が水道設備を更新するのか、という問題だ。国か、自治体か。どちらにも水道設備を一新するほどの財政的余裕はないだろう。

さらに「もう一つの問題は高齢化だ。全国の水道事業体の技術者の半分は50歳以上(前掲紙)」らしい。水道事業においても、モノづくりと同じく技術継承がされない恐れがある。

ここにチャンスがある。

人間にとって水は必需品、水なしで人は生きていくことができない。だから、今はタダ同然の水が今後、少しぐらい値上がりしたとしても買わざるを得ない。この意味するところは、日本では水道民営化にビジネスチャンスがあるということだ。

さらに、水道技術者がいなくなるということは、ここに若年労働者を呼び込むこともできることになる。水道関連の技術を身につければ、少なくともこれから先当分の間、全国で次々と耐用年数を迎える水道設備の更新需要で食いっぱぐれはないだろう。

しかも命の水を支える仕事とあれば、働きがい、やりがいもあるのではないか。水道技術の継承、若手育成、民営化への取り組み。世界一の水準をキープする日本の水道技術は、都市インフラを支える貴重な技術として、今後の世界でも活躍できる可能性がある。