10月3日の数字:御社の10月の売り上げは

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機関投資家が注目する、10月の売上げ。
なぜ、10月の売上げが指標となるのでしょうか?

「10月の数字で投資先を決める。国内外の機関投資家が、日本の小売企業への投資判断の材料として10月の販売実績を注視している(日経産業新聞2009年10月2日付20面)」そうだ。10月と言えば今月である。

なぜ、10月なのか。答えは簡単で、リーマンショックから1年経ったから。百年に一度などといわれた金融大恐慌から本当に学ぶべきは、リーマン以前と以後では、世界の基本的な成り立ちが変わったことだ。

つまりリーマン以前の世界景気はアメリカの消費に支えられていた。そのアメリカの消費は、借金が支えていた。例えば住宅価格は永遠に上がり続けるといった神話があり、家を借金で買った人が、買った家を担保に借金を重ねる。買った家の売値が買値より上がるのなら、それで借金をチャラにできる、はず。

これが、それまでの世界経済の根本的なロジックである。といえば、日本のバブルもまったく同じ構造だったことがわかるはず。であるなら、おそらくは産業革命以降続く、西洋起源の経済構造はすべて同じ理屈で動いてきたのだ。

それが覆った。当たり前である。資源は無限ではないのだから。資源の有限性が、成長の無限性の制約条件になる。もう皆さんお忘れかもしれないが、昨年原油価格が暴騰したときには、同じ思いをされた方もいらっしゃったのではないか。

だから去年の9月で世界の基本的な枠組みは変わったのだ。それから一年経った今年10月の売上げから読めるのは、各企業のアジャストぶりである。事業を行う基本的な世界観が変わったことに気づいているのか、いないのか。

それが10月の売上げに出る。さすがに先を読む力に長けている機関投資家は、企業経営者の先を読む力を判断材料とするわけだ。この不況は一時の暴風だから、今はじっと身をすくめてやり過ごせば、また「元」のように景気は良くなると待つのか。

何もかもがゼロから変わる今こそチャンス、とばかりに新しい動きに乗り出すのか。いずれにしても一年経てば、各企業の考え方、動きは明らかになってくるだろう。

そして厳しいのは動いたからと言って、必ずしもそれが正しい方向であるとは限らないこと。下手に動いたが故に、さらに業績が悪化する可能性だって否定はできない。それでも「ゆでガエル」になるより「座して死を待つ」よりはましだ。

さて、御社の今月の売上げはどうなっているだろうか。上昇気流に転じているのか、横ばいなのか、あるいは下降傾向にあるのか。その前に、この一年で何か新しいことを始めているのか。考えどころである。