9月22日の数字:二輪車、ピーク時の8分の1に激減

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バイク人口が激減している。
その背景には、何か大きな変化があるのではないだろうか。

二輪車需要が落ち込んでいる。昨年12月に発表された自工会の総需要見込みによれば、09年は前年比約13%減、50万台弱となっていた。ところがふたを開けてみると、09年前期の販売・出荷実績は20万台強。

このペースでいくと今年は40万台に終わってしまう。前年対比30%のマイナスだ。なぜ、人はバイクに乗らなくなってしまったのか。同じような記事が日経にも掲載されていた。記事内容はうろ覚えだが「二輪車の販売台数は10年前の半分、ピークだった80年代前半に比べると8分の1に落ち込んでいる」といった内容だった。

記事には激減の理由として、若者の嗜好の変化、人口減、景気悪化などをあげていた。ピークだった80年代前半にバイクを乗り回していた(1年間で36000キロぐらい走っていた)身としては、特になぜ若い人がバイクに乗らなくなったのかが不思議で仕方がない。

自分にとってのバイクは何よりも自由の象徴だった。好きなところへ、好きな時間に、思うままにいくことができる。そのための乗り物がバイクだ。しかも友だちを乗せて一緒に行くこともできる。渋滞に悩まされることもない。信号のたびに最前列に出ることができ、その加速を生かせばクルマなどとは比べものにならないぐらい速く移動できる。しかも、学生にも十分にまかなえる費用で。

というメリットを、今の若い人たちは感じないということなのだろう。つまり80年代前半の若い人たちと、今の若い人たちの間には決定的なギャップがあるのではないか。

例えば、今時の若者は、昔ほど移動に対する欲求がないのかもしれない。所詮、日本の中ならどこへ行ってもそんなに変わらないことを知っているからだろうか。風光明媚なところなんて、すでに情報として得ているからという可能性もある。

あるいは誰かと会うために移動する必要を感じていないとも考えられる。ネットやケータイを使えば、すでに相手の顔を見ながら話すことができる時代なのだ。わざわざバイクなどに乗って行くことはない、というのも理屈ではある。

最近、問題意識として強く感じているのが、バブル後に生まれた人たちは、それ以前の世代とは心象風景が決定的に違うのではないかということ。この問題意識を、あえてビジネスの世界に持ち込んで考えるなら、クルマを買う人が今の8分の1になったら、どうなるのだろうという思考実験になる。決して非現実的なシミュレーションではないかもしれない。