LOHATES(ロハテス)
7月30日の数字:年産40万台のインパクト
- 2009/07/30 05:00
- 投稿者: takebayashi
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目標となる年産40万台の意味は、どう読めばよいだろうか。
日産自動車が本気だ。ハイブリッドではなく電気自動車で世界トップを狙う戦略に出る。その目標値が年産40万台。日米欧三極体制で車両と電池の大規模な量産体制を整備する。狙いは自社製電池のデファクト化である。
「電気自動車をニッチ商品にするつもりはない(日経産業新聞2009年7月28日付26面)」。ゴーンさんはこう言い切ったらしい。ニッチ商品でなければ何なのか、主力商品ということだろう。
同社の2008年度の自動車販売総数が約370万台だから、その1割以上を電気自動車にシフトする計算になる。あくまでも国内に限った参考数字でしかないが、乗用車販売ランキング(自販連)によれば、車種別売り上げでナンバーワンのホンダ・フィットが約17万台だ。
40万台という日産の目標はもちろん、グローバルベースの話ではあるが相当な力の入れ方であることはわかる。そのための投資が1000億円にも上る。要するに本気というか、社運を賭けての勝負に出ていると言っていいのだろう。
では、なぜそこまでの勝負に出るのか。答えは一つしかない。これから先の自動車は電気自動車になると読んでいるからだ。いや、むしろ今後の自動車の主流を何が何でも電気自動車に持って行くのだという、強い意志が背景にあると考えた方がよいのかもしれない。
そのための大規模投資なのだろう。狙いは上述の記事にもあったが電池のデファクト化だ。電気自動車用の電池に関しては今のところ、トヨタ・ホンダがニッケル水素電池なのに対して、日産はリチウムイオン電池で勝負に出る。
どちらがデファクトになるかは、例えばブラウザー戦争でのネットスケープ対インターネットエクスプローラーの戦いみたいなものだ。要するに勝ったほうが圧倒的に優位なポジションを占めることになる。これが日産の狙いだろう。
リチウムイオン電池はまだまだ完成型とはいえず改良の余地はある。そもそも原料となるリチウムには埋蔵量の問題もある。海水リチウムの抽出など資源周りから製品に至るまでビジネスチャンスがいくつも転がっているんじゃないだろうか。