7月29日の数字:1万ドルが1億人

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中国の経済構造が大きく変わろうとしている。
輸出主導から内需主導へ。巨大なマーケットの誕生をどう読むべきか。

中国都市部では1人あたりのGNPがついに1万ドルを超えた(日本経済新聞2009年7月28日付朝刊1面)。これは1980年初期の日本と同じ状況だという。中国で都市部の人口を合計すれば、ざっと1億人。まさに30年前の日本と同じところまできているわけだ。

とはいえ、日本とは明らかな違いもある。たとえば上海。外資からの投資がばんばん入ってくるこの街の趣は、未来都市以外の何者でもない。オフィス街には欧米人が闊歩し、彼らと対等に英語でやり合っているのが現地中国人エリートたちである。そんな風景は30年前の日本ではもちろん、今の東京でもみられない。

あるいは北京のメインストリート。こちらはブランドショップが軒を連ねている。そして何よりすごいのは、ここに集う人たちのドラスティックな変化だ。一昔前の北京といえば、田舎からのお上り旅行者が集うところだった。

もちろん今でも、そうした旅行者はいる。しかし、ファッション街を颯爽と歩いているのは、首都北京だからこその富裕層である。彼ら北方系の中国人はスタイルがよい。銀座でもみられないようなスタイリッシュな人たちが、ここに集っている。

約1億人といわれる都市部住民に限れば、エアコンや携帯電話の世帯普及率は100%を超えている。これも明らかに日本の80年代とは違う。

その中国の経済構造がいよいよ、本格的な内需主導型に向かおうとしている。そこにどんなマーケットが生まれるのか。先を読んだ欧米諸国はすでに、大統領や首相の訪中にくっついて経済界のトップたちが中国詣でを繰り返している。

翻って日本はどうか。もちろんカントリーリスクはある。法治より人治の国である。上に法律あれば下に対処ありの世界でもある。しかし、不正確とはいえ年率8%もの経済成長を続けている国でもある。中国の消費市場が爆発したときに、何が起こるのか。自社のチャンスとリスクはどうなるのか。この程度のことをシミュレーションしておくべきだろう。