ラックなたたずまい《技術屋の心眼》

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面白い本に出会いました。
E.S.ファーガソン著「技術屋の心眼」。





10年ほど前に出版された書籍のようですが、最近、平凡社ライブラリーとして文庫本でリリースされたものです。

技術屋さんが計算や論理のみの技術に頼るのは製品を開発するものとして決して良くないことが書かれています。

曰く、技術は芸術に通じると。

パッと見、芸術のあやふやさと技術の厳格さは相反するもののように思いがちです。
しかし実際のところ、良い製品を生み出すには技術の力だけではどうにもならず、設計する人の、あるいは製品を使う人の想像の力(創造の力)が必要であるということに気付かされます。

本書では技術を過信してしまって大きな災害に至ってしまった過去の事例や、技術屋の人々がルネサンス以降、どのように製品を表現し、標準化し、第3者に理解させるのかという、一種の図面の発達史のようなことも書かれています。

あちこちのページに鏤められた貴重な挿し絵も魅力的。

読後の感想は、「モノ作りは芸術である」。
但し、売れなければ意味はないですけどね。