ハロウィンとお月見

今日、10月31日はハロウィンだそうですな。
結構前からディズニーランドやらユニバーサルスタジオなんかの西洋系テーマパークではその普及に力を入れてるようですが、バレンタインデーや節分の巻寿司のようには普及していないように思われます。

が、私の地元では、昔からハロウィンに近い行事と言うか風習があります。
それは十五夜(旧暦8月15日)の夜に、子供たちが「(だんごを)突かせて〜」と、近所の家々をまわってお菓子をもらうと言うもの。

その日の夕方、日が暮れてくると子供らが大きなビニール袋を片手に、仲良しのグループで、幼稚園児くらいの小さな子供は少し年長のお兄ちゃんお姉ちゃんに連れられて、そぞろ町内を徘徊し始めます。
そして近所の家々に手当たり次第入っていっては「突かせて〜」と声をかけてまわります。
すると各家々の大人たちは、用意していたお菓子やジュースを子供たちに与えていくのです。
小一時間もするとビニール袋は伸びきってしまわんばかりにいっぱいになっています。

これは、僕らが子供のころには既にあった風習で、僕自身も彼らのように各家をまわった記憶があります。

ただ、僕らの子供のころと違うのは、当時はお菓子ではなくて、本当にお月見でお供えしている団子を頂いたことです。
最近では月見団子をお供えする家が少なくなったり、何より縁側のある家が少なくなったことから、今のようなお菓子を用意する形にかわってきたものだと思われます。

これは僕のおやじに聞いたことですが、おやじの子供のころは、近所の悪ガキがお月見にお供えしている団子を(黙って)盗み食いして各家をまわったのだそうです。
まぁ、子供のする事ですから、盗みに来たことなんてすぐにばれてしまっていたんでしょう。大人たちが見て見ぬ振りをしていたのをイイコトに、子供の方がだんだん大胆になって、「団子を突かせて〜」と堂々と玄関から入っていくようになっていったというのが歴史的な変遷のようです。

今どき考えられないようなおおらかな話ですが、この風習、僕は結構おもしろいと思っています。
まず、日頃は会話することもない近所の子供が、わざわざ家にまでやって来て、少しではあるけど会話ができること。
口うるさいおばちゃんに挨拶が悪いと注意されたり、お兄ちゃんに促されて、自分で「突かせて〜」と言わされるちっちゃい子どもなど、いろいろなドラマがあるようです。

そしてもうひとつは、子どもたちの情報交換。「○○さんちはこんなお菓子がもらえる」など、子ども同士で情報を交換して、限られた時間の中で最大の収穫を目指すのは、なかなか得られない体験のように思われます。
僕たちが子供のころは本当に団子を頂いていたので、交換する情報も「○○さんのところの団子はうまい」「××さんところはもうひとつやなぁ」などといったことだったのですが・・・。

時代は変わっても、子どもがワクワクするような出来事が、自分の住んでいるその場にあるというのは、イイコトだと思いませんか?
エンターテイメントやイベントが身近(生活の中)にあるということが、今の時代にはありそうでないことのように思います。