第5回BMBインタビュー[株式会社エンジニア]

株式会社エンジニアの高崎充弘さん

ネジザウルス・タカサキの異名を持ち、潰れたねじ・錆びついたねじを簡単に取外せる工具に情熱を燃やす株式会社エンジニア代表取締役社長 高崎充弘さんです。

 株式会社エンジニアは、旧双葉工具株式会社で平成14年に社名変更されています。旧社名をご存知の方は、日本橋界隈を放浪した今で言う「オタク」族かも。現在のアキバでは、エンジニアブランドは超有名。

-創業60年ということですが、最初はどのようなものを作っておられたのですか。
ネジザウルスパッケージ
 昭和23年に父と叔父二人で創業し、当初からプロ仕様のニッパーやねじ回しといった作業工具類を製造販売していました。製造そのものは、東大阪などの協力工場に依頼して作っていただいています。社名となっている「エンジニア」は当初からのブランド名です。現在は工具だけでなく、時代に合わせて静電気対策品や、環境対策品の鉛フリー対応半田コテ、微細加工物の立体検査用の実体顕微鏡などを展開しています。プロ仕様の販売をしていますが、「ネジザウルス」から一般の人にも知られるようになりました。このことによりデザイン性が求められるようになってきてパッケージで工夫していますが、本体のデザイン性を今後高めて生きたいと考えています。

-その「ネジザウルス」ですが、開発のきっかけは何ですか。


原型となる工具はアメリカでも一部製造されていたようですが、頭の潰れたネジを外すための工具としては、ほとんど一般には知られていませんでした。そこで5~6年前、ネジ頭をより強力に保持する方法を考案し、日本はもとより、米国その他数カ国の国際特許を取得し、製造販売を開始いたしました。 ネーミングは、ホームセンターで販売する時にパッケージも新たに作ろうということになり、「ネジザウルス」とネーミングしました。ネーミングは社内公募で決めました。

-「ネジザウルス」とは、どのような商品なのでしょうか
ネジザウルスプライヤー先端部分

プラスねじの頭の十字溝をドライバーで削ってしまい、外せなくなった経験はないですか。そのねじを簡単にはずせる工具です。また、プラスネジだけでなく、六角ネジや特殊ネジなども、ねじ回しがなくてもネジザウルス1本で対応できます。プライヤーの先端部分に特徴があります。通常は、先端部分は横溝になっています。これだと、ねじを挟んで回そうとしても、滑ってしまって、うまく回せません。縦溝にすることでねじとかみ合い、さらにねじ頭に沿うように谷構造になっています。これで、ねじあたまをなめたものや錆びついたねじが簡単にはずせます。

さらにこのプライヤーには工夫があります。通常のプライヤーは、かしめるための構造になっていますが、プライヤーの用途として、はずすときによく使用しませんか。ネジザウルスでは、このはずす時にセットピンに負担がかからない構造にしています。写真の下がネジザウルスです。違いを発見してください。 ネジザウルスプライヤー

:なるほど、逆合わせになっているのですね。

-ネジザウルス以外に御社の強みはなんでしょうか。
現在1000点以上のアイテムがありますが、昭和40年、50年代までは、こちらで用意しているアイテムから選んでいただいていました。現在では、クライアントのニーズに的確に対応する体制にしています。つまり、オーダーメイドの製品提供が可能です。そのための試作開発室を設置しています。これも協力工場を多数持つ当社の強みといえます。
その展開として、ニッパー・プライヤー以外に、ピンセット、圧着ペンチ、実体顕微鏡、半田ゴテ、特殊ねじ用ドライバーなどの強みのある商品群となっています。今後は静電気対策用商品にも力を入れていきたいと考えています。

-1000点もある商品群を束ねる「エンジニアブランド」の考え方とはどのようなものですか。
一口に言いますと、機・能・美をコンセプトに展開しています。「機」とは、からくり・仕掛けのことで特許取得を目指した独自性がでるように工夫しています。「能」とは、実用性のことで売れ頃価格を意識しています。「美」とは、デザイン性のことで意匠・商標取得を目指しています。ネジザウルスを例に説明しますと、「機」として前述のように先端部分の特徴を持ち国際特許を取得しています。「能」では幅広いニーズに対応した実用性になります。「美」ではパッケージに工夫を凝らし、「ネジザウルス」の商標登録も行いました。このように3つのコンセプトで他のエンジニアブランド商品についても展開しながら、絶えず見直しを行っています。今後は「美」にもっと力を入れていきたいと考えています。

-最後にお聞きします。ブログを始められたきっかけは何ですか。
BMBキックオフセミナーで、三元ラセン管工業㈱の高嶋社長さんのお話を聞き、始めました。これからもっと情報発信をしてきたいと考えています。BMBでデザイナーとのコラボができたらいいですね。

試作開発室では、これまでの商品では不可能であった新機能の製品開発が進行中で、それを見せていただいた社長の懐の深さを感じました。また、開発担当者の川合さんと高崎さんとの会話も掛け合い漫才を聞いているようで楽しい雰囲気の職場だなと感じました。これからもニーズに即した製品開発を期待します。

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