第6回BMBインタビュー[有限会社 奥進システム]

第6回BMBインタビューは、中小企業の独自ノウハウを実現するシステム作りと、障がいがある人でも普通に働ける職場作りを目指している奥進システムの奥脇学さんです。

 御社の業務内容をご紹介ください

一言で言えば業務システム開発ですが、PHPによるWebアプリケーション開発専業です。PHP言語を使用することで、豊富なオープンソース資源を利用して開発コストを圧縮することができます。

また、Webアプリケーションとは、インターネット閲覧に使用するブラウザを使って操作する仕組みをこう呼びますが、ユーザがいくら増えてもブラウザさえ動作すれば作業を行うことができます。これによって、運用コストも大幅に圧縮されます。

※PHP:Webページ作成のために用いられるプログラミング言語の一種

 業務システムには、パッケージとかいろいろありますが御社の特徴は?

 パッケージはソフトの構造に業務を合わせることになり、使い勝手の点で問題もあります。弊社では逆に、一から作り上げるシステムを開発しています。

 中小企業には、独自のノウハウを持って業務を行われているところがたくさんあります。弊社は、このような独自に持っておられるノウハウをコンピュータシステム化することで時間短縮や正確性、そのほかコンピュータ化による機能を提供できるものと考えています。

そのためには、クライアントの考えや要望を正確に聞き出さなければなりませんが

そのため、システム開発の最初1,2ヶ月はヒアリングです。その過程で、画面イメージやプロトタイプを作成して提示しながら話を詰めていきます。

また、ヒアリングの過程で他のパッケージの方が適していたらそちらを紹介しますし、当社でできないと判断すれば他のシステム開発会社を紹介することもあります。

起業のきっかけは

大阪に本社があるソフトメーカーに15年間ほど勤めていましたが、東京など単身赴任が多く、家庭を持つようになってからはつらかったです。そのとき思ったのが、プログラム作成などシステム開発は在宅でもできるのになんでや?という気持ちでした。

会社設立は200年2月2日ですが、その1年ほど前から個人として本を執筆したりといった活動をしていました。

そのときの在宅勤務への想いが現在の御社の勤務システムにつながっているのですね

そうです。現在、月、水、金を出社日とし、火、木が在宅日です。

在宅日には、始業と終業時間にSkypeを使って連絡を取り合っています。

※Skype(スカイプ):インターネットによる電話サービス

 

いま、車椅子の従業員の方が2名いらっしゃいますね

2005年と2006年に1名ずつ障がいを持つ方を雇用いたしました。在宅勤務という形態は、通勤など移動が大きな負担となる障がい者の方に向いていると改めて思います。

多くの企業では、障がい者の方の雇用に二の足を踏んでいるように聞いていますが

当社では大阪市職業リハビリテーションセンターさんの協力もあり、入社前に実習という形で、かなり当社の業務に近い形での実習を行わせていただくことができました。そのため、採用に当たっての不安はほぼなくなりました。

在宅時にはどのように作業をしておられるのですか

会社のサーバへVPN接続し、リモートデスクトップで操作します。これによって会社でも自宅でも全く同じ環境で作業できます。

(事務局:これらの説明をしていただくのに、奥脇さん、プロジェクターに画面を移しながらサクサクサクといろんな情報へアクセスしています)

※VPN:Virtual Private Network (VPN)。多数の加入者で帯域共用する通信網を利用し、LAN間などを接続する技術もしくは電気通信事業者のサービス。

経営計画とか業務規定とか、様々な情報がオンライン化されていますね

やはり文書化しておくと混乱がなくなります。技術面でつまずいた内容などPukiWIKIに順次残しておくことで、技術資産として受け継いでいける環境にしています。

※PukiWIKI :PHPで動作し、ウェブブラウザを利用してWebサーバ上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムの一種

電子データと同じように事務所も大変片付いていますね

性分で、雑然とものがあったりすると片付けてしまうんです。

(事務局:なるほど、この緻密さがビジネスシステムを高信頼なものとする原点のひとつでしょうか)

障害者の方が働きやすいよう、事務所をリフォームされたんですね

大家さんが快くリフォームを許してくれました。事務所内だけでなくビルの玄関やエレベーターフロアにもスロープも設置しています。リフォーム中は、お隣の取引先会社さんに間借りしていたんですよ。

(事務局:車椅子でも作業しやすいよう、照明スイッチは壁の低い位置にあり、車椅子が下に入れるような高さの会議机や作業机(特注)が置かれています。また、ダンボール製衝立や、ホワイトボードが置かれていました。)

ダンボールの衝立、なかなかいいですね

矢野紙器さん(BMB会員)に作っていただきました。軽いので大変移動しやすいです。

このホワイトボード、ダンボール製ですね

これも、矢野紙器さんで作っていただいたものです。移動しやすいのと、書いたものを消さずに片付けたり、全て並べて眺めることもできますから、プランを立てたり、議論を継続するのに大変便利です。

(事務局:随所に心配りのあふれた事務所でした。アットホームな雰囲気の中で、緻密な会社運営。これが企業の業務システムを作り上げるバックボーンになっているのではないでしょうか。)

今日はありがとうございました。BMBの内部ブログにも記事を書いてくださいね

はい、6月に本社を大阪オフィスに移したのを契機に、ホームページをリニューアルしました。そして3本のブログを書いていこうと思っています。ひとつは私がずっと書いている「オクガクブログ」で、これは個人的な内容がほとんどです、他に社員の皆さんに書いてもらう「子だぬきの「ボソッと」ブログ」、そして弊社の仕事に関して書いていくつもりの「システムたぬきの飼い方」です。最後のブログがBMBにふさわしいと思うので連動する形でどんどんアップしていきます。

 
(編集部:この後、約束どおりBMB内部ブログへも「システムたぬきの飼い方」を投稿してくださっています。この調子でお願いします。
また、奥進システムさんの障がい者雇用の取り組みについては以下のホームページで詳しく紹介されています)