11月17日の数字:新人研修は1年半

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新人を一人前に育てるのは至難の業。
研修に一年半もかける企業が出てきたようです。

「サントリーの清涼飲料販売子会社、サントリーフーズは今年度、18ヶ月の長期新人研修を導入した(日本経済新聞2009年11月16日付朝刊11面)」

入社してからの1年半ではない。内定式が終わった10月に研修はスタートする。まずはレポートの提出が求められる。そして3月には集合研修に呼び出される。今どきの学生さんは大変やなと同情する。と同時にそこまでやらんとあかんのかとも思う。

サントリーフーズの場合、前年度までの研修は4ヶ月だったらしいから、研修期間は一挙に4倍半にも増えた。長期化の理由は言うまでもないだろう。入社してくる社員が「ゆとり世代」になったからだ。

悪評高い「ゆとり教育」のスタートが2002年、このときに高校生ということは生まれ年にして1987年から88年となる。その「ゆとり世代」で大卒の人たちが初めて社会人となったのが今年というわけだ。

彼らに対してサントリーフーズは「少子化の影響もあり、受験戦争などで猛烈な競争をしていないため『目標を達成することへの意識が弱い』(前掲紙)」とみている。そう一概に決めつけるのはどうかと思うし、本来なら個人差が大きいはずだと思うのだが、実際のところはどうなんだろう。

これから当分の間は大卒新入社員が仮に、即戦力として期待できないとすれば企業はどう対応すればいいのか。サントリーフーズ社のように、1年半もの長期にわたって新人研修に時間を割ける余裕があればよいが、これはレアケースだろう。

となるとどんな研修制度を設計するのかが、企業にとっては極めて重要な課題となるはずだ。とはいえ「若手社員の問題で最も多く指摘されたのは『コミュニケーション能力の不足』だった。回答者の52%が選んだ。2番目は回答者の47%が選んだ『読み書き考える能力の低下』だった(前掲紙)」とあれば、並大抵のことでは研修自体が成立しない可能性もある。

となれば、入社試験や面接でのポイントを、相手のコミュニケーション能力や基本的に読み書き能力に絞り込んで見ればよいわけで、こちらを改善することがまず第一。その後に、入ってくる人たちの資質を見極めた上で十把一絡げではなく個人対応で研修プログラムを組むことが必要なのだろう。


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