1月13日の数字:3年前と比べて2割のドル安

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アメリカが再び「世界の工場」となる。
その可能性は、決してゼロではないはず。
世界中の事業環境が変わった今、
アメリカにいくつかのメリットがあります。

「世界の工場」といえば中国、と相場は決まっていた。しかし、かつてはアメリカが、その地位を担っていたのだ。リーマン・ショック以降の状況を踏まえれば、いま一度アメリカを世界の工場と考えてみてはどうか。そんな問題提起が日本経済新聞でなされていた(日本経済新聞2010年1月10日付朝刊3面)。

ではアメリカに工場を設置を考えたとき、どんなメリットがありうるのか。記事によれば、メリットは3つある。

まず第一には投資負担が軽いこと。オバマ政権はグリーン・ニューディール政策をとっている。そのために次世代エネルギー関連企業などの投資に対しては、米政府が具体的に支援する。例えば「LG科学は工場建設費用3億ドルの半分を政府の支援が補う(前掲紙)」とある。まさに三顧の礼を持って迎え入れられるわけだ。しかもドル安が投資メリットを大きくしてくれる。

第二は意外にも人件費が割安となっていること。いまアメリカは空前の失業者を抱えている。景気後退が始まってから実に800万人もの雇用が失われたといわれる。失業対策として今後、毎月10万人を上回るペースでの雇用創出が求められている。人が大量に余っているのだから、比較的安いコストで人を雇うことができるのだ。雇用創出に関しても今後、政府の補助がつく可能性がある。

第三には「広い意味での経営インフラも強みだ(前掲紙)」。とりあえずアメリカが人治ではなく法治国家であることは間違いない事実。労働者の権利意識は高いけれども、法に従っていれば、それほど無茶な騒動が起こるリスクは低いだろう。いきなり反日デモが盛り上がって工場が壊される、なんてこともまずないはずだ。

さらには記事には書かれていないが、アメリカは未だに人口が増え続けている国であることを忘れてはいけない。マーケットが拡大し続けることが企業にとってどれほどの福音であるかは、人口減が現実のものとなっている日本と比べてみればよくわかるはずだ。

もちろん、だからといってアメリカにはバラ色の未来が開けている、といったおめでたい話をするつもりはない。だが、海外移転といえば中国を筆頭とするアジアにしか目を向けないのは、少しばかり近視眼的過ぎはしないだろうか。そもそも日本がせっせと投資している中国は、アフリカにどんどん進出しているのだから。

日本をはじめとして欧米諸国からは投資を呼び込み、自らは将来を見据えてアフリカに投資する中国の強かさを見習いたいものだ。