8月17日の数字:全社員の93.3%が女性

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ベトナムの話。矢崎総業の子会社、ヤザキ・ハイフォンでは4700人いる全社員の93.3%が女性だという(日経産業新聞2009年8月11日付12面)。そして全体の1割以上が妊娠中、彼女たちは空調の効いた特別室で勤務している。

同社の川井社長は「(おなかの中にいる)子供も含めて雇用しているつもり」と話す(前掲紙)。なぜ、わざわざ生産効率の落ちるであろう妊婦を雇い続けるのか。ベトナムでは出産前ぎりぎりまで女性たちは働き、しかも出産後は「大半が約4ヶ月後に戻ってくる。しかも彼女たちこそが、各職場のノウハウを握っている(前掲紙)」からだ。

ベトナムといえば、かつてはホー・チ・ミン氏が建国の祖となったバリバリの共産主義国家である。今でこそ『ドイモイ(刷新)』政策によって改革・開放路線をとっているが、アメリカと熾烈な戦いを勝ち抜いた革命国家であることを忘れてはいけない。

といえば中国との類似性があるわけだが、中華民族とベトナム民族の間には一つ、決定的な違いがある。それは歴史上、中華民族はベトナム民族を隷属させたことがあるが、その逆はないということだ。これがベトナム民族にどのようなDNAをもたらしたのかはわからない。

しかし、確実にいえるのは、ベトナム人は日本人(「かつての」という修飾語が必要かもしれないが)に似て、極めて勤勉だということ。ルールに従順といっても良いかもしれない。ゲリラ戦を徹底的に戦う芯の強さは持ちながら、表面はあくまで穏やかであり、まじめなのだ。

だから日本企業の中国からベトナムへのシフトが起こっているのだろう。確かにインフラ整備は中国に一日の長があり、労働力確保なども容易だったために海外生産ならまず中国という風潮があった。しかし、中国に進出した企業の中には、相当に手痛い目にあったところも多々ある。

そこでベトナムへ、という流れが起こっているのだろう。そのベトナムで今起こっているのは、サービス業の躍進だ。「首都圏では共働きの家庭が特に多いことから、通学時の送迎が(タクシー会社の)ビジネスになると判断した(前掲紙)」ぐらいである。

工場がベトナムに進出するなら、その周辺産業にも十分ビジネスチャンスがある。特に日本人と親和性の高いベトナムには、多くのブルーオーシャンがあるのではないだろうか。