11月26日の数字:従業員10名の自動車会社

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従業員わずか10名での自動車メーカー。
そんなあり得ない話が、現実のものとなっています。

そこにどんなチャンスが見えてくるでしょうか。
オートイーヴィジャパンという自動車メーカーがある。従業員わずかに10名程度らしい。それでも自動車メーカーができる。扱っているのは電気自動車と電動スクーターである。

電気自動車の世界は、従来のガソリン自動車の世界とはまったく違う。同じ「自動車」とはいいながら、業界構造は非連続的に変わる。そんなことをこれまでも何回か書いてきた。

中国にはすでに200社以上の電気自動車メーカーがあるという。「ベンチャー企業など小規模メーカーの参入が相次いでおり、こうした企業群を「スモールハンドレッド」と表現する。巨大資本を頂点とし、参入障壁が極めて高い現在の自動車産業のピラミッド構造と対比して使われる(日経産業新聞2009年11月25日付22面)」

早い話が、自動車業界は風景が一変したということだろう。もちろん業界全体でみれば、自動車全体の売上高の99%ぐらいはいわゆるビッグメーカーが稼ぎ出しているはずだ。まだ、今のところは。

とはいえ考えるべきは、そうした状態がいつまで続くのかということ。大手の中でも日産のようにハイブリッドをすっ飛ばして電気自動車に全力集中するメーカーも出てきている。流れは電気なのだ。この流れは今はまだ、ちょろちょろしたせせらぎぐらいのものなのかもしれない。

けれど、それがいつの間にか大きなうねりとなって、気がついたら堤防決壊、一気に世界中に広がっている、なんてことも起こりうる。なぜなら電気自動車メーカーは、従業員10人でも成立するから。数多くの下請け系列パーツメーカーがなくても成立するビジネスだから。

その未来像を予測させるのが、中国で起こっている電気自動車メーカーの雨後の筍状態だろう。ここにはいくらでもビジネスチャンスがある。そしてこれまでの自動車業界について知っていることは、必ずしも不利に働くとは限らない。

自分たちが従来の経験によってどんなバイアスを持っているのか。この点さえ自覚していれば、新しいトレンドの中でも蓄積してきたノウハウを活かすことは当然できる。それによって優位に立つこともできる。中国の電気自動車メーカーの中に飛び込んで指導する、なんてモデルも考えられるだろう。