八木経営システム研究所

製造業のためのマーケティングセミナー

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昨日、東大阪にあるクリエイション・コア東大阪で、「製造業におけるマーケティング」というテーマで講演を行った。主催は、NPO法人・プラスチック人材アタッセ というNPO法人である。

大阪商工会議所や中小企業支援センターでの経営相談での経験から、中小製造業者の方は、モノを作ることについてはかなり自信を持っておられるが、モノを売る段階で、どこにどのように売ったらよいかわからないという人が多い。

このような悩みを聞いていたので、一度、中小製造業という分野のマーケティングについて自分なりにアドバイスできるように勉強しようと思い、少し以前から、上手く販路を見つけて成功している企業の方の話を聞いたり、取材をしたりして調査していた。そして、この結果を、一度披露したいと思っていたところ、このNPO法人さんからのセミナー依頼があったもの。

モノをつくる時点から、市場細分化、ターゲティング、ポジショニングの考え方を意識して行うこと、中小企業としてのマーケティングミックス4Pの適応の仕方、などをわかりやすく説明できたと思う。今後も機会があれば同様な講演で中小製造業の方のお役に立ちたいと思っている。

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ところで、最近の不況を反映してセミナー参加者もかなり減少していると聞く。
幸いに私のセミナーの場合は、まずまずの参加者があったが・・・・
2月に行った中部産業連盟主催で行った「”見える化”による現場改善の進めかた」には多くの方の参加を頂いた。ただ、テーマの関係から中堅規模の会社が多かった。

 

「経営の見える化」セミナー

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先日、久しぶりに滋賀県の草津へ行った。草津商工会議所で行われたセミナーの講師としての仕事のためである。

草津には会社勤務の時代、時々商談のため訪れたが、暫く来ない間に駅前の風景が大きく変わっていた。草津商工会議所は、駅の東側にあるが、そこに至るまでの地域は再開発により高層の住宅が立ち並んでいた。今回、帰りに寄ろうと思っていたところで、時間の余裕がなかったので行かなかったが、近くの商店街を南に下ると、東海道と中山道の分岐点があり、本陣跡もあり、昔、交通の要所として栄えた往時が偲ばれる。

さて、セミナーのことだが、今年になって不況のせいか、セミナー参加者は減っているという。そんな中、私のセミナーを聴くために来られた方には感謝しなければならないという気持になった。受講者の中には、N社という食品関係の会社から社長さん以下、営業、製造、など7名の方が参加され、日常の問題点について色んな質問をされたので私としても良い勉強になった。

今回のセミナーの趣旨は、経営の見える化を通じて社内のコミュニケーションが改善され、それにより、現場の自主的問題解決が促進され、明るい組織風土が醸成される、というものである。

企業組織が大きくなるにつれ、情報量は増加するが、肝心な情報は逆にわかりづらくなったり、あるいはわかりやすくするための配慮があまりなされていないので理解されなくなり勝ちである。そのため、仕事のプロセスが見えない、更に見えないが故に、見えていない問題の解決能力が低下してくる。

企業に求められるのは現場力の強化である。いくら優れた経営戦略を立案しても、それを実行する現場の人のやる気、即ち当事者意識がなくては上手くいかない。

受講者からは、その当事者意識を植え付けるにはどのようにしたらよいかという質問が多く出た。これは、難しい問題であるが、要は、一方的に命令してやってもらうことを止め、現場が自ら考え、自ら実行するようにすることが必要である、ということである。

参考:草津商工会議所のセミナー開催内容
                                       :「5S」と「見える化」の効果的進めかた。

 同様なセミナーを2月25日に大阪で行いますので是非ご参加下さい。
 
「見える化による現場改善の進めかた~社員間の意識の共有化、
                        情報の共有化による現場力の強化~」
 日時:2009年2月25日(水) 10:00~17:00
  場所:ホテル新大阪 東口ステーションビル研修ルーム
 講師:八木芳昭
 内容:1.なぜ「見える化」が必要か?
      2.「見える化」導入のポイント、
           3.見える化の視点と事例
                (社内各部門の横断的視点、部門の仕事の見える化) 
           4.演習

    主催:中産連(中部産業連盟 マネジメント研修事業部) 
    →詳細は 
chusanren2009.02.25mieruka7.pdf へのリンク 
  

by 八木: http://homepage3.nifty.com/yagikeieioffice/

堺刃物素形材研究所-産業用刃物に新素材を提供-

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私が地域活性化コーディネーターとして関与している(財)大阪産業振興機構という大阪府の関連機関が、テイクオフ大阪21認定事業として平成19年に認定して企業の一つに堺刃物素形材研究所という企業がある。最近では、泉州ビジネスプラン大賞優秀賞の受賞や堺市産学共同研究開発支援補助金認定事業などの認定も受けている。

代表者である高田恒夫さんは鋳造メーカー・栗本鉄工で製造技術を15年、材料技術を11年経験した。また家業が刃物製造業であったことから、刃物と鋳造の融合を模索していた。

 そうした中で、ある刃物に適した材料と出会い、刃物に特化した材料研究をスタートさせた。そして試作した刃物を岐阜県製品技術研究所で評価してもらった結果、トップレベルの刃物材料であることが判明。その直後、栗本鉄工を退社、この新材料を基に事業をしようと独立した。


 現在、従来製品比で切れ味、耐久性で大幅な優位性を有するこの新素材を基にして、各種の用途開発を行っている。新素材は、いささか専門的になるが、超鋼での刃先欠けの不満、ハイスでの耐久性の不満を解消させるものだという。用途は産業廃棄物処理用粉砕機、テープカッター、旋盤用刃物、などだ。

 高田さんの当面の悩みは、製品に自信を持っていても、これを使ってもらうユーザーの開拓が大変だということだ。我々大阪産業振興機構も販路開拓面でのアドバイスなどで色々と協力させて頂いている。独立と同時に立上げたホームページによる販売促進も徐々に効果を発揮しつつあり、様々な問い合わせがあるという。

今後、高田さんの事業が発展することを切に願っています。

備考:
堺刃物素形材研究所様は、このBMBに加盟されていますので、詳しくはそのホームページをご覧下さい。

 

 

NHKスペシャル-女と男-を観て

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先日、NHKスペシャル「女と男-惹かれあう二人、すれ違う二人」を観た。
その内容は、アメリカの研究者による欧米人を対象として得られた結果であるので、これが我々日本人にも適用できるかは断定できないが、狩猟民族と農耕民族という民族の成り立ちを超えて、ある程度、事実であると感じた次第である。

男女の恋はドーパミンという脳内物質の作用により起こるが、恋愛の賞味期限はせいぜい3年であるという。最近、結婚後間もなく離婚したり、長年連れ添った夫婦が離婚したり、と離婚が急増しているが、この問題と照らし合わせて考えると興味深い。

それでは、男女関係(夫婦関係)を長続きさせるはどうしたらよいかであるが、男女の間に存在する次のような違いを理解し合うことであるという。

①女性は、相手の顔の表情から感情を読み取ることを容易に行うが、
男性はこの能力が劣り、時には読み外すことが多い。②女性が悩みを相談する時、話を聞いて欲しいだけなのに、男性は早急に解決策を示そうとしてしてしまい、すれ違いが生じる。③女性の方が隣人や地域の人とのコミュニケーションを気楽に多く取る傾向がある。

これらの違いは、長い狩猟時代に人間に植え付けられたDNAを現代に至るまで引き継いでいるせいだという。狩猟時代、人間は厳しい生存競争の中で、男女、役割分担して、協力して子育てをしてきたが、子育ての約3年間が終わると協力度合いが急激に減少したということに大きな理由があるらしい。

従って、男女の間の関係を良好にするには、この違いを認識して、相手の気持ちを理解する努力が欠かせないのだという。とりわけ男性の方に、女性とのコミュニケーションを多く取る努力が必要だという。

上記の①については、女性の方が直感力や感性に優れているということは周知の事実であるので理解できるし、②については、私も含めて世の男性にはそのような面があることはある程度事実であると感じる。③については、女性は何でも話をするが、男性は見知らぬ人との会話にはより慎重である、等の傾向がある、ということを考えれば、これらの指摘は当たっている。

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この研究調査結果は欧米人を対象としてなされたものであるが、いわゆる農耕民族である我々日本人にもあてはまるものだと感じた。

この他、協働作業をする場合は、これらの男女の違いを上手く補完し合い、男だけ、女だけ、というよりも男女協働でやるチームの方が成功の確率が高いという調査結果も述べていたが、成る程と思われる。

セミナー開催のご案内:「見える化による現場改善の進め方」

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 製造業の方々を対象とした下記のセミナーを開催致しますので、
 是非ご参加下さい。

はじめに:
 経営環境が厳しい時代において、企業が存続し更に発展していくためには、
様々な問題に対して社員全員が当事者意識をもって一体となって解決して行く
ことが必要です。そのためには明るく風通しの良い企業風土を形成することが
必要です。
そこで役立つのが経営の「見える化」です。「見える化」により、製造現場を中心に、
関連業務の改革を併行して進めることにより、部門間の意識共有化、情報共有化
が図られ、現場力の強化が期待できます。

 

大阪府の文化を維持しよう

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我々は常日頃、文化的なものに接しているから、文化のありがたさというものにはあまり気づかないでいると思う。しかし一旦、今まであった文化がなくなってしまえば、何か殺伐とした気分になり元気がなくなってしまうと思われる。

そもそも文化とは何か? 
あまり難しく考えないでおこう! 作家・司馬遼太郎さんが、その著「風塵抄」の中で次のように述べている内容がわかりやすい。

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「狭義の文化は・・・・簡単にいえば、習慣・慣習のことである。
 外から家に帰ってくると、ほっとする。家は、自分がつくりあげた、自分だけの文化である。胎児が子宮にいるように、サナギがマユにくるまれているように、心を落ち着かせる。

一民族やその社会で共有される文化を、仮に狭義の文化とする。
 私どもが外国から日本に帰ってくるだけで、釣られた魚が、ふたたび海にもどされたほどの安らぎを覚える。

“文化とは、それにくるまれてやすらぐもの。あるいは楽しいもの” と考えたい。
 以下の広義の文化もかわりはない。

 国が富めば、世界一の交響楽団がやってくる。聴くと、楽しさにつつまれる。印象派の華麗な作品群にかこまれて展覧会場で座っている場合も同じである。広義の文化は、心が高められ、しばしば元気が出る。

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私も、昔、仕事でインドネシアのジャカルタに滞在していた時、文化のありがたさというものについて考えさせられたことがある。

そこには、1ヶ月ほど、滞在していたわけだが、仕事が忙しい時は気にならないが、相手先との交渉で、何日間も相手側の返事を待つために無為に待機しなければならなかったことが何度かあった。

暇を紛らすために、安くプレイできるゴルフ場が近くにあったのでよく行ったが、毎日だと飽きてくる。歴史的なモニュメントとか美術館とかがあればいいのだが、当時のジャカルタには我々日本人を癒してくれるような文化的なものはなかった。

その時、文化のありがたさをひしひしと感じた。

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ところで、現在、大阪府では橋本知事の下、全面的に予算の縮小が検討されている。これについては、
私としては、将来の大阪の復興のためにはやむをえないことだと思っている。

しかし、文化的なものまで削減することは危険だ。
文化は一度失うと、その再現には膨大な時間を要するだろう。

例えば、現在、その煽りをうけて国際児童文学館(大阪府吹田市)が存亡の危機にある。同館は、手塚治虫文化賞・特別賞に決まっている施設である。

関係者は、「単なる児童文学館ではない。児童文化の総合資料センターだ」と主張し、
存続を訴えているが・・・・・・・

また、“中小企業のものづくり支援”などを行う体制があるというのも、大阪の誇る一つの文化なのだが、
これを支援する中小企業支援センターについても、同様に存亡の危機にさらされている。

橋本府政は、「文化を消す失政」だけは思いとどまって欲しいものだ。

 

関連ブログ:橋本府政下における中小企業施策

テレビ番組・生野から世界ブランドへの挑戦

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先日、関西テレビで、ドキュメント・ものつくる人々「生野から世界ブランドへの挑戦」という番組が放映された。
この番組で放映されたのは、
生野区のものづくり異業種交流グループ「フォーラム・アイ」の活動についてである。

このグループの代表幹事をされている吉持製作所の吉持剛志さんとは、今年の3月まで大阪商工会議所 東成・生野支部の経営相談員をしていた関係上、懇意にさせて頂いている。

かなり以前からテレビ局から取材を受けていることをお聞きしていたが、吉持さんのブログでいよいよ放映されることを知った。

番組では、デザイナーの山崎充昭さん、吉持さん等、フォーラム・アイのメンバーが、YOROIという生野ブランドのキャリーバックを制作するために、コラボレーションを重ねていく様子が克明に描かれており、ものづくりにあたって、小さな企業が生き残りをかけて必死に頑張っている様子がひしひしと伝わってきた。

また、モリアス アイアン・ワークスの若手経営者森下徹さんが、お父さんから独立して、レース用自動車用のマフラー開発という、新分野を開拓するために、大阪産業大学等とのコラボを進めている様子も知ることができ大変感動した。

番組では、ものづくりをされている人達の人間的な側面も描かれており、
大変工夫された様子が窺えるのが素晴らしい。

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ところで、製造業を営む中小企業の町といえば、東京都の大田区や東大阪市がよく話題になるが、大阪市の生野・東成区の存在も忘れてはならない。

生野・東成区におけるものづくりの歴史は古く、江戸、明治、大正、昭和を通じてものづくりの拠点としての役割を果たしてきた。ここを拠点として巣立っていった企業も多いと聞く。

最近でも、異業種交流グループ「フォーラム・アイ」が結成されたり、数年前から「東成・生野ものづくりフェスタ」が開催されるなど、ものづくりの振興のための活動が盛んだ。

現在、多くの異業種交流会が存在するが、実際に活発に活動しているのは少ないという話をよく聞く。
そのような中で、今回放映された生野区の異業種交流グループ「フォーラム・アイ」の活動は活発だ。

メンバー間の連携が強く、生野を日本のミラノに!というスローガンでイタリアのミラノに視察旅行に出かけたりして、益々発展しつつあるグループだ。

フォーラム・アイのホームページはここをクリック


 

関西・大阪を元気に(2)

◆前回、かっての大阪には、皆で頑張ろうという公共心の伝統があったが、最近は、このような公共心の低下が目立つようになった、と記した。

大阪の街は汚く(東京に比べれば)、あちらこちらにごみが落ちているのが見られる、ひったくりが多い、違法駐車が多い、乗り物などで横入りが多い、企業は儲かるものであれば、金をを使うが、街並みを綺麗にするとか、皆で住みよい街にするとかいう話になると、あまり協力しない、行政の中にも、街づくりを熱心に進めようとしている人がいるが、地元の人達の意見を充分取り入れていないので効果をあげていない、等々である。

◆なぜ、このようになって来たのだろうか? この疑問に答える明確な答えは難しいが、考えられるのは、江戸時代、大阪が大坂藩でなく、幕府直轄の天領であったことに起因するのかも知れない。

天領であったから、大坂には武士が少なく、町民が人口の圧倒的多数を占めていた。
従って、町民による自治が行われていたといってもよく、このことが良い面につながった、と言う点では、人々が協力して物事を進める好ましい雰囲気の醸成ができたということだ。そして、比較的自由な雰囲気の中で天下の台所という商業都市を生み出した。

しかし一方、悪い面では、リーダーシップを持った人がいなくなると、烏合の衆となり、まとまりがなくなり、各自勝手なことをしている状態になる、ということだ。今の大阪がそのようなひどい状態であると言うつもりはないが、そのようになる事態になって来たと思われる。

従って、このような事態を避けるには、今後、大阪の将来を担う若い世代の強力なリーダーの出現が望まれるのだ。

余談だが、「大坂を藩としないで幕府の天領としたのは大坂に力を与えないための幕府の戦略であった。この戦略は、いまだに国の構図として残っている」という、大阪21世紀協会理事長・堀井氏が言った記事をどこかで見たが、これは、これとして、このような意見もあるということを記憶にとどめて欲しい。

注:江戸時代、今の「大阪」は「大坂」という字が使われていた。

◆大阪には伝統と潜在力がまだ残っている。まだこれらが残っている間に、強いリーダーシップを持った若いリーダーが関西・大阪の各地で、「関西・大阪をよくしよう!」と街づくり、産業興しの狼煙(のろし)をあげれば、その他の人達も元気付けられて、その活動に参加するように思われる。

大阪では、江戸時代、世界で最初に先物取引が始まった。経済活動と情報が結びつき幾つかの新聞社も出来た。河村瑞賢が開発した東回り海路、西回り海路により、大坂は全国の物資の集散地として栄えた。北前船も北海道、東北から瀬戸内海を通ってやってきた。

金融、情報、物流。今最も求められる産業は元々大阪にあったのだ。
それが明治維新とともに、権威の中心が東京に移った(天皇が東京に行かれた)ことで、大阪の衰退が始まったと言われている。

◆それでは、大阪はどのように復活したらよいのか?
東京の真似をしなくてよい。地方分権時代に突入しようとしている現在、行政に頼らず、民の力でまず、活性化ののろしをあげ、それに官を巻き込むことだ。日本の場合、官は動きが悪いからだ。

復活の基になるのは、関西・大阪しかない伝統と歴史だ。
京都・奈良の歴史的価値は言うに及ばす、大阪にも、先に述べた江戸時代における商業都市としての歴史と伝統に加えて、仁徳天皇稜、等に代表される古代の歴史、難波の宮、更にはアジアとの距離が短かったことにより、韓国、中国、インド、ベトナムなど様々な人々の子孫が暮らしているということ、など誇るべきものが多い。

このような伝統と歴史を活用するのだ。

つい最近まで、私は大阪商工会議所の東成・生野支部の仕事に少し携わっていたが、生野区では、「わがまちクラブ生野」という集いがあり、生野区の活性化に向けて民間の方、役所の方が一緒になって活動している。
そこには生野コリアンタウンもあり、江戸時代、来日した朝鮮通信使との歴史的係り、等にも関心を寄せ、街づくりに活かせようとしているのが、印象に残った。

◆最後に、現在の関西・大阪は、東京に比べて情報発信力が弱いということだ。
大阪・神戸 米国総領事館領事・カミングスさんという人の発言を新聞でお見受けしたが、彼の言っていることが当を得た発言であるので次に引用させて頂く。


・来日した米国・中西部の副知事4人の話として、「こんなに良いところなのに、関西、大阪は聞いたことがなかった」という話があったが、これは印象的だった。

・米国の使節団に「自治体は、パンフレットやウエブサイトを使って誘致に取り組んであるが、分厚い資料ばかりで肝心な情報がない。プレゼンテーションも下手」と言われたことがある。聞く側がどういう立場の人達なのか、どういう情報を求めているかを考える習慣が自治体の方にはないようです。

・型にはまったプレゼンが多い。ウエブサイトも情報過多。煩雑でどこから入ればいいか分らない。役所は情報は量さえあればいいと思っている。ニーズがどこにあるか、少し勉強すればわかるはずなのに。

・大阪・兵庫・京都のそりが合わないのも一因です。それぞれに窓口があるから迷ってしまう。我々でさえも関西全域の情報を得るのに苦心します。
行政は自らの管轄しかみていない。関西はそれぞれの都市に歴史があり、拮抗しているから調整が難しいのでしよう。
→これは、昨年、自治体を超えた広域連合を目指す関西広域機構が発足した、ことにより改善されることを期待したいところです。

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このカミングスさんの発言は本当に当を得た発言です。情報発信の資料やウエブサイトを作るのに、官主導で作り、そこに現場で実際に実務をしている民の人達の意見が取り入れていないと言うことに尽きます。
このようなことを役所の人達も含め民間の者も大いに議論して反省しなければなりません。

関西・大阪を元気に(1)

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◆江戸時代に“天下の台所”と呼ばれ、経済・文化の集積地として名を馳せた大阪。
その賑わいを取り戻そうとの動きが活発だ。

3月29日にオープンした「八軒家浜(はちけんやはま)」がその一つだ。昨年は、天神橋に上方落語の天満天神繁昌亭が復活した。


◆「八軒家浜」は平安時代、京都を船で出発した「熊野御幸」の一行が船を下り、熊野詣でに陸路を辿った出発点と言われている。筆者も、地下鉄天満橋の近くに、旧熊野街道があり、天下茶屋方面の方向が刻まれている道標を見かけたことがある。

また、この「八軒家浜」は、江戸時代、伏見との定期船の船着場となり、淀川の舟運発祥地でもある。「八軒家浜」の名前の由来は、1782年、江戸幕府が官許の肩書きを許した8軒の定飛脚問屋が店舗を連ねたことに端を発する。

坂本龍馬等、幕末を賑わした多くの人物が、この船を利用して京都・大坂間を行き来していたことが司馬遼太郎の「龍馬がゆく」に描かれている。

今回、その場所の一つの区間に船着場と遊歩道が整備され、水上交通の拠点となる水上ターミナルが完成したものである。

遊歩道には、建築家・安藤忠雄氏が呼びかける「桜の会・平成の通り抜け実行委員会」の募金による桜30本が植樹されている。

◆このような動きにより大阪が元気を取り戻すのを願うのは、大阪府民全員の願いであろうと思うが、いまひとつ盛り上がらないのは、現在の大阪の人間が、市民、企業人、

行政、政治家など、皆が自分のことだけを考えて、「大阪をよくしよう」と一緒になって頑張る雰囲気がないからだ。

◆かっての大阪には、皆で頑張ろうという公共心の伝統があった。江戸は幕府が造ったのに対し、大阪の街は自分で造るという気概があった。

村田英雄が唄った「王将」に出てくる「八百八橋」という浪速の橋も、幕府が架けた公儀橋は少なく、淀屋橋を始め大半が町人が協力して造った橋なのだ。また、大阪市中央公会堂は北浜の株式仲買人の寄付、昭和の始めの大阪天守閣再建は市民、企業からの巨額の募金で実現した。

◆しかし、このような公共心の低下が最近、目立つようになった。

次回に続く。