投稿者: kawamoto(oidc) 2025/02/25 09:00
BMB事務局の川本です。
2024年11月に行われたBMB第57回勉強会「 AIを活用した産業機械の異常検知から予知保全まで」の事例2で紹介しました、
「製造業データの解析ワークフローとAI活用~故障データがない場合の異常検知と予知保全~」について、開催報告を掲載いたします。
講演者:MathWorks Japan アプリケーションエンジニアリング部 王 暁星 博士(理学)
概要:
本セミナーでは、数値解析ソフト「MATLAB」を活用した製造業向けの異常検知および予知保全の手法について解説が行われた。特に、故障データがない場合の異常検知(教師なし学習)や、機器の残寿命推定に焦点を当て、AIや機械学習を活用した最新技術が紹介された。
また、MATLABの専用アプリケーションを用いたデータ解析の効率化や、健康インジケータを活用した残寿命予測の手法についても実践的な説明が行われた。
講演内容の要点:
1. MATLABを活用したデータ解析ワークフロー
製造業のデータ解析は 「データ収集 → 前処理 → 予測モデル構築 → モデル展開」 という一連の流れを持つ。
MATLABでは 130種類以上のアプリケーションを提供しており、専門知識がなくても高度なデータ解析が可能。
特に、MATLABのデータ解析ツールは、センサーデータの取得からモデリング、デプロイまでの一気通貫したワークフローを支援する。
2. 異常検知のアプローチ
(1) 教師あり学習による異常検知
振動データを活用した異常検知の具体例:
MATLABの「診断特徴デザイナー」 を活用することで、適切な特徴量の選別・ランキングが自動化され、より精度の高い異常検知が可能。
(2) 教師なし学習による異常検知
故障データがない場合のアプローチとして、オートエンコーダを用いた異常検知手法が紹介された。
オートエンコーダの活用:
適用事例:音データを活用した異常検知
3. 機器の残寿命推定(RUL:Remaining Useful Life)
(1) 時系列特徴量を用いた健康インジケータの構築
残寿命推定の目的:
主要な手法:
4. システム実装と展開
(1) エッジデバイスへの実装
(2) 産業界での活用事例
大林組の「クラウドを活用した山岳トンネル工事の切羽評価システム」
まとめ:
本セミナーでは、MATLABを活用した異常検知・予知保全の最新技術が、理論と実践の両面から詳細に解説された。特に、故障データがない場合の教師なし学習や、健康インジケータを活用した残寿命推定(RUL) は、製造業の現場において即座に応用可能な手法であり、多くの参加者にとって有益な内容となった。