ベローズとフレキシブルチューブの違い（解説記事）
投稿者: takashima 2024/05/27 15:00
ベローズとフレキシブルチューブの違い
液体や気体等を扱う配管系における蛇腹構造を持った伸縮管または伸縮管継手は、「ベローズ」および「フレキシブルチューブ」と呼ばれます。
家庭の水道管からロケットの燃料配管まで。どちらの部品も配管システムにおいて重要な役割を果たしますが、その形状と構造、用途、特性には明確な違いがあります。
以下に専門的な視点からこれらの違いを解説します。
1. 形状と構造
ベローズ
- 形状: 蛇腹状の波形構造。山が高く、山と山のピッチが狭い。
- 口径の小さなベローズでは薄肉や多層加工により、蛇腹部が口径より長いものもある。
- 構造: 一般的に薄い金属シートを円筒形に成形し、波形の蛇腹構造を持たせることで、伸縮性を確保。
- 製造方法: 溶接や機械加工によって一体化された構造。
フレキシブルチューブ
- 形状: ワンピッチ又はスパイラル形状。山高が低く、山と山のピッチが広い。
- 構造: 金属製またはプラスチック製のチューブで、編組の補強材を持つことが多い。
- 製造方法: 連続成型で製造し、編組で外装編み込みなどの工法で製造。
2. 用途
ベローズ
- 用途: 主に極低温から高温までの環境下での伸縮や振動の吸収、配管の熱膨張の吸収補償、シール用途。
- 典型的な使用例: 発電所、化学プラント、半導体、大学・研究所、原子力施設、航空宇宙産業などの過酷な環境。
フレキシブルチューブ
- 用途: 液体や気体の輸送配管において配管のズレに柔軟に対応でき、特に移動や設置が頻繁に行われる環境。
- 典型的な使用例: 工業用プラント配管から一般産業用、家庭用の水道・ガス配管、自動車、冷却システム、給水システム、タンク根元配管の地盤沈下対策用など。
3. 特性
ベローズ
- 柔軟性: 高い。特に軸方向の伸縮や角度変化に優れる。
- 耐圧性: 高圧環境でも使用可能。
- 耐熱性: 極低温から高温環境での使用に適している。
- 耐食性：優れている。
- 寿命: 適切な設計と使用により長寿命。
フレキシブルチューブ
- 柔軟性: 高い。特に曲げやすさが求められる用途に適している。
- 耐圧性: 中程度。高圧環境では限界がある。
- 耐熱性: 使用材料によるが、一般的にはベローズよりも低い。
- 耐食性：一般的にはベローズよりも低い。
- 寿命: 使用条件によるが、摩耗や破損のリスクがある。
4. 長所・短所
ベローズ
長所:
- 高い耐圧性と耐熱性、耐食性により、過酷な環境下でも信頼性が高い。
- 優れたシール性能により、漏れを防ぐ。
- 高い柔軟性により、複雑な動きに対応できる。
- さまざまな材料や設計が可能で、多用途に対応できる。
短所:
- 製造コストが高い。
- 設置には専門的な知識と技術が必要。
フレキシブルチューブ
長所:
- 取り扱いやすく、設置が簡単。
- コストが比較的低く、多用途に対応できる。
短所:
- 耐圧性や耐熱性がベローズに比べて低い。
- 長期間使用すると摩耗や劣化が進みやすい。
- 高圧・高温環境には不向きな場合がある。
- 製造の方法上、特殊な材料や板厚、特別なサイズ等に対応できない。
結論
ベローズとフレキシブルチューブは、それぞれ異なる特性と用途を持ち、特定の条件やニーズに応じて使い分けられます。
高圧・高温環境下での耐久性やシール性能が求められる場合はベローズが適していますが、柔軟性や取り扱いの簡便さが重要な場合はフレキシブルチューブが適しています。
製品の選定にあたっては、具体的な使用環境と要求仕様を十分に考慮することが重要です。
べローズ、フレキシブルチューブについての詳細は、当社サイトの「お問い合せ・ご相談」をご利用ください。
https://www.mitsumoto-bellows.co.jp/inquiry/bellows.html[*1]
三元ラセン管工業株式会社[*2]
〒536-0022 大阪府大阪市城東区永田1丁目2番37号
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