ORISTシンポジウム「想像を遥かに超えるデザイン設計をめざして...。」開催報告③(地独)大阪産業技術研究所

休憩を挟んで地方独立行政法人大阪産業技術研究所の事例紹介に移ります。

事例紹介1では「トポロジー最適化の基礎と設計における活用法」と題して、(地独)大阪産業技術研究所(以下、大阪技術研) 和泉センター 電子・機械システム研究部 研究員(工博)の赤井亮太 氏に発表いただきました。

赤井亮太

大阪技術研ではSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参画するとともに京都大学 西脇研究室の協力を得て、トポロジー最適化に基づく上流課程の製品設計法を地域の企業に試験的に提供し、その成果普及や試用促進を行っています。

トポロジー最適化

トポロジー最適化の手法は様々な構想設計に活かせる技術ですが、大阪技術研では「定められた量の体積を削減しつつ剛性(変形のしにくさ)を最大化する設計領域内の材料分布を決める有限要素法をベースとした繰り返し計算」として限定的に利用しています。

トポロジー最適化には、解決手法として「均質化法」、「密度法」、「レベルセット法」がありますが、大阪技術研では、京都大学 西脇研究室が開発した最新の「レベルセット法」を用いて設計支援を行っています。

トポロジー最適化・レベルセット法

レベルセット法によるトポロジー最適化のシミュレーションとして「自転車フレームを想定した板材のトポロジー最適化」計算結果をご覧下さい。

材料(鉄やアルミ等)について、変形させない「拘束条件」や荷重の位置・大きさなどを変えることで、最適化された自転車フレームの形状が変わることにご注目ください。

自転車フレームを想定した板材のトポロジー最適化

最後にまとめとしてトポロジー最適化の効用ですが、製品の構想設計段階において多様な設計案を創出できること。そして、CAEや試作などの設計案の評価と併用することで、開発期間の短縮化とコストダウン。また、安全・安心な製品開発のための一つの手段になることを述べさせていただきます。

大阪技術研では、トポロジー最適化ソフトの試用について問合せを受付ていますので、ご興味のある方はご連絡ください。