緞帳の図案です。

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木下様からこれまでの作品についての「柄のテーマ、歴史的な背景、意味、こだわり、」を解説し、図案家としての情報発信を活発にされる方が先ではないでしょうか。というアドバイスをいただきました。今までは図案会を通しての情報発信を主にしていましたが、BMBでも、これまでの作品の紹介試みたいと思います。
これは、以前にデザインした、石川県立音楽堂邦楽ホール緞帳の図案です。
デザインを基に織り上がった製品は見ましたが、実際に石川県立音楽堂邦楽ホールでは見る機会がこれまでありませんでした。誰かご覧になった方からご意見をいただければうれしいです。

日本の美的感覚と感受性を育んできた四季。「ひわ茶地型紙花模様散縫箔」からそれぞれの季節を彩る花を選び、構成することによって、四季の美しさを表現しました。
そこに配されたのは、吉祥花の代表とされ、また太陽の恵みを象徴する菊が重なった「菊重模様」。この「菊重模様」はその形から青海波を連想させます。青海波は水波紋を起源に持ち、水波は波また潮であると言えます。潮は朝に通じ、朝日と同じく吉祥の生ずるところを表します。このように素材、そして素材構成の両方が吉祥の意を持つ「菊重模様」は、誠に縁起の良い模様であると言えるでしょう。
移り変わる日本の四季と、吉祥花である菊の重なりにきらびやかな美しさを表し、また、波を思わせる地模様に波紋が広がるかのごとく、石川県立音楽堂から発信された文化芸術が世界へと伝播していってほしいとの願いを込めた、秀逸な緞帳です。