低温焼きなましによる、ばねの寸法変化

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ばねの成形後、内部応力の釣り合いがとれた安定状態となっているので、ばねは成形後の形状を保っている。
低温焼なましにより残留応力を除去すると、この釣り合いが崩れてばねの形状や寸法に変化が生じます。
その変化の方向は材料によって違ってきます。ピアノ線・硬銅線・オイルテンパー線といった炭素鋼系の場合は、
巻いたばねを更に巻き込む方向に変化して、コイル径は小さくなり、自由長は長くなる。
一方、ステンレス鋼線の場合は、巻いたばねが戻る方向に変化して、コイル径は大きくなり、自由長は小さくなる。実際には量産に先立ち、低温焼なましを行って寸法を確認してから成形していくのが一般的です

低温焼なましによるコイルばねの変形方向と変形量
低温焼なましによるコイルばねの変形方向と変形量