工場の問題が見えてますか?

 データは活用しなければ無用の長物
社内で発生した不良データをパソコンに入力して、毎月きれいなグラフを作っている会社があります。

「外観不良5件」「ボルト取付け忘れ3件」「孔あけ位置間違い3件」

月々の発生データを折れ線グラフで表示して、品質検討会であれこれ対策を話し合っている。

その都度何らかの対策を打っているのですが、その対策が効果を出したのかどうか、全く検証されていない。

折れ線グラフは品質特性別の発生件数を表示しただけのもので、対策を打ったものも打っていないものも一緒くたになっている。

一体何を読取るための折れ線グラフなのか、目的が曖昧なのです。

不良はゼロで当たり前。

一旦発生した不良項目は、二度と発生させないように、抜本的な再発防止のための手を打たなければならないのです。

打った手が甘いから、また不良が発生する。

グラフというものは、打った手がどれだけ効果を出したのか、それとも、効果が出なかったのか、検証のために使うデータです。

折れ線グラフは単に月々の変化を見るだけのものではないのです。

社員の「ヤル腕」を磨く

二割の社員は十分「ヤル気」を持っています。

何とかして不良を減らしたい、無くしたいと思っているのです。

でもそのやり方を知らない。だから出来ない。

なぜ知らないか。教えていないからです。

教育費を予算計上している中小企業はほとんどありません。

社員に教育の場を与えていないのです。

教えないことは分からない。分からないことは出来ないのです。

創業五十年になる工場で、全従業員を対象にした工場改善技術のセミナーを頼まれました。

朝から夕方まで八時間かけて、工場改善の考え方のいろはから、直ぐに使える改善手法まで、実践的な内容を紹介したのですが、皆さん、熱心に聴いてくれて、学ぶ喜びを感じてもらえました。

ところが聞いてみると、この五十年間、セミナーを受講させたこともなければ、講師を呼んで社内講習会をしたこともない。

社内教育はするが、それは技能教育ばかりで、このようなセミナーの機会は初めてだ。ということでした。

「教育」と「訓練」は別物なのです。

社内で「技能教育」をしたというが、それは教育ではなくて、「技能訓練」なのです。

「訓練」でなくて「教育」すること。

「改善訓練」などはありません。「改善教育」をするのです。

「問題発見のための着眼力」「問題解決技術」を磨くのです。

そうすれば、社長がイライラしなくとも、工場は自然によくなっていきます。