5月21日の数字:新刊を半額で配信

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最大手の出版社が
人気作家の新刊を
電子書籍で出す。
これはグーテンベルグ的な革命ではないでしょうか。

PEST
Technological:電子書籍
4P
Product・Price・Place:電子書籍が書籍の形態・価格・流通を変える

iPad対応の新刊書が発売される。しかも人気作家の新作ミステリーを、講談社が出す(日経産業新聞2010年5月12日付3面)。日本の出版界にとってエポックメイキングな出来事である。

もしかしたら10年ぐらい後の社会科の教科書には「2010年5月末、日本でも大手出版社が初めて、新刊を電子書籍で刊行しました。これ以降、書籍の電子化が日本では急速に進み、今では皆さんが毎日目に(手に)しているように、本はiPadで読むものとなったのです」と書かれるようになるのかもしれない。

この説明文の横には、紙の本の写真が掲載されていて、家庭では「お父さんらは、紙の本やったんやで」「(息子)信じられへんなあ。よう、そんなんで読めたな」という会話が交わされるのではないか。

とにかく講談社が、京極夏彦の新刊を、電子書籍(でも)出すことの意味を噛みしめるべきだ。

しかも、この本は「携帯電話版は1章ごと100円販売(全章で500円)する形態にした。利用端末を問わず、第1章は無料で試し読みができる(前掲紙)」という。

従来の『本』というプロダクトの形式が破壊され(=一冊丸ごとで製品だったのが1章ごとでも製品となる)、価格が破壊され、さらには流通形態も破壊される(書店流通の中抜きである)。本の革命、といっても決して言い過ぎではないと思う。

ますます、コンテンツそのものが問われる時代になるのだろう。ただ、そのコンテンツについては、見方が分かれるところで、iPad版の雑誌のように動画コンテンツを連動させたものとなるのか、あるいは、もう少し後には動画への一方的な振れから逆戻しが来て、再度文字重視の時代が来るのか。

個人的には、教育的効果も含めて、文字メイン時代の再来を願うところだ。